2024年末時点で3340億ドルもの現金を積み上げていたウォーレン・バフェットは、市場下落を待っていたかのように動き出した。S&P500が年初来10%以上下落する中、割安感の強まった優良銘柄に注目している。

代表的な銘柄には、堅実な配当とブランド力を持つコカ・コーラ(KO)、収益改善が見込まれるアリー・ファイナンシャル(ALLY)、成長余地を秘めたダビータ(DVA)が挙げられる。いずれもバフェットが重視する「堅牢な財務基盤」と「競争優位性」を備えている。今回の動きは、短期的な市場混乱を冷静に捉え、長期的な資産拡大を見据えるバフェットの投資哲学を象徴している。

バフェットが選んだ3銘柄の実力と現在の評価水準

2024年末時点でウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイは3340億ドルの現金を保有し、株式市場の調整局面を待ち構えていた。その狙い通り、S&P500は年初来で10%超の下落を記録し、優良株の価格も大幅に修正された。こうした環境下でバフェットが注目するのが、長期的な安定成長が見込める3銘柄、すなわちコカ・コーラ(KO)、アリー・ファイナンシャル(ALLY)、ダビータ(DVA)である。

コカ・コーラは過去1年間で25%上昇しながらも、予想PERは22と5年平均を下回る。62年連続の増配を背景に、安定収入とブランド価値の両面で市場からの支持を得ている。アリーは自動車ローンとデジタルバンキングでの存在感を背景に業績が持ち直し、1株利益は市場予想を上回った。PERはわずか5倍で割安感が際立つ。ダビータは透析市場の大手として新たな薬剤対応による収益増が期待されており、13倍のPERと投資妙味がある。

いずれも、財務体質・収益構造・業界内ポジションという観点で、バフェットの投資基準に合致している。今回の選定は、短期的な価格調整を中長期の投資機会とみなす戦略を如実に示している。

市場の調整局面に現れた“現金王”の構えと哲学

バークシャー・ハサウェイが2年間かけて蓄積してきた現金資産は、2024年末に史上最高の3340億ドルに達した。この資金戦略は、明らかに市場が過熱状態にあるというバフェットの判断に基づくものであり、適正価格を待つという姿勢が背景にある。そして今、S&P500の大幅下落によって、その構えが実を結ぶ局面が訪れつつある。

バフェットは、相場が悲観に傾いたときに優良資産を買い付ける「逆張り」の信念を貫いてきた。今回の選定銘柄も、その思想に則ったものである。成長性を過度に織り込んだ銘柄ではなく、競争優位と堅実なキャッシュフローを生み出す企業に資金を向けている。高インフレや金利不安といったマクロ環境を過度に警戒せず、本質的な企業価値を見抜く姿勢こそが、バフェット流の真髄といえる。

市場の一時的な混乱に動じず、むしろそれを機会と見なす胆力と準備こそが、60年以上にわたる年率20%という驚異的なリターンを支えている。バフェットの哲学は、短期売買に翻弄される市場参加者に対し、投資の原理原則をあらためて突きつけているように映る。

Source:msn