2024年4月に金価格が1オンスあたり3,357ドルの過去最高値を記録したことで、ビットコイン市場に再び注目が集まっている。過去には、金が新高値を付けた後、150日以内にビットコインが急騰した例が複数あり、特に2017年と2020年の相場でその傾向が顕著であった。

Theya社のジョー・コンソルティ氏は「金が先に反応し、ビットコインはより大きく後追いする」と述べ、現状の相場環境もこのパターンに一致する可能性があるとした。一方で、価格上昇が必然であるとは限らず、地政学リスクや政策の不確実性が影響するとの慎重な見方も残る。

市場では2025年後半にビットコインが過去最高値を更新するとの予想も出ているが、それが実現するかは依然として多くの要因に左右される。

金価格の過去最高値更新がもたらすビットコイン市場への波及効果

2024年4月17日、金価格は1オンスあたり3,357ドルと過去最高値を更新した。この記録的水準は、世界的な金融不安と米ドルへの不信感を背景に、安全資産としての金への資金流入が加速した結果と見られる。これに連動する形で注目されているのが、ビットコインの今後の値動きである。Theya社のジョー・コンソルティ氏によれば、ビットコインは金の動きに100〜150日程度の遅れで追随する傾向があるという。事実、2017年や2020年の相場でも金の急騰の後、ビットコインが最高値を更新している事例が確認されている。

こうした過去の傾向は、現在の金価格上昇が再びビットコインに波及する可能性を示唆しているが、単純な相関に依存することは危険である。2024年のように、金の上昇がマクロ経済の構造的な変化を反映している場合、ビットコインも類似の価格反応を示す可能性はある。しかし、金融政策や地政学リスク、米国の財政状況など、複合的な要因が相場に影響を及ぼすため、過去と同じ軌道をたどるとは限らない。現在の市場は、過去の延長ではなく、新たな局面に突入している可能性がある。

パワーローモデルとビットコインの価格予測にみる論理構造

ビットコイン支持者の「apsk32」は、パワーローモデルと「パワーカーブ時間輪郭(power curve time contours)」を用いて、2025年後半にビットコインが放物線的な成長段階に突入し、最大で40万ドルに達する可能性があると主張している。この予測は、過去の価格サイクルをもとに、時価総額を金価格に正規化し、BTC価格を対数スケール上で金(オンス)換算で測定するという手法に基づくものである。こうした数理モデルは、金融工学的アプローチとして一定の説得力を持つものの、その前提条件や市場の外部要因の変動には脆弱である。

特に、2025年の金融環境が、インフレ懸念、米国の財政赤字、地政学的リスクなど多様な要因に左右される中で、モデルが示す価格上昇のシナリオが現実に近づくかどうかは定かではない。また、ビットコインの「デジタル・ゴールド」としての立ち位置が揺らぐ可能性もある。仮に金とビットコインの役割が今後も補完的であるならば、価格連動の傾向は続くかもしれないが、制度的な規制や流動性の変動によって乖離が拡大する展開も否定できない。モデルは一つの視座に過ぎず、市場の本質を捉えるには複合的な分析が求められる。

金融混乱下での「逃避資産」としての構造的変化

Galaxy Digitalのマイク・ノボグラッツCEOは、2024年の世界経済を「ミンスキー・モーメント」に例え、金とビットコインを現代の金融指標と位置づけている。彼の見解では、現在の市場は株式が下落し、ドルが弱体化する中で、投資家は安全資産へと資金をシフトしているという。米国の累積的な財政赤字や35兆ドルを超える国債発行残高がこの構造的な資本移動を促しているという指摘は、単なる短期的な市場変動を超えた視座を提供している。

この文脈において、ビットコインはもはや単なるリスク資産ではなく、制度的な金融の外側にある代替手段としての認識が強まりつつある。一方で、その価値が過度に「印刷機の動向」や政策不確実性に左右されるという弱点も抱えている。金と異なり、長期的な実物資産としての信頼性はまだ確立途上であり、今後の市場変動におけるその役割が固定的であるとは言えない。逃避資産としてのポジションが定着するか、それとも一過性の動きにとどまるかは、今後の市場の選択にかかっている。

Source:Cointelegraph