米労働省が発表した4月第2週の新規失業保険申請件数は21万5,000件と、市場予想の22万5,000件を下回った。これは労働市場の安定を示すものであり、投資家にとってインフレ圧力の持続や利下げ観測後退というシグナルとなった。パウエルFRB議長は関税の経済的影響が予想を上回る可能性に言及し、追加の金融緩和には慎重な姿勢を維持。
こうした中、ビットコインは83,700〜85,200ドルの狭いレンジで推移し、「転換点」に差し掛かっていると複数のアナリストが指摘する。85,000ドルの突破は、今後の方向性を左右する重要な分水嶺となる可能性がある。
米新規失業保険申請件数の減少が示す労働市場の底堅さ

米労働省が4月17日に発表した新規失業保険申請件数は21万5,000件となり、22万5,000件という市場予想を下回った。この結果は、関税による企業活動の停滞が懸念される中でも、労働市場が依然として強固な回復基調を維持していることを示唆している。新規失業保険申請件数は、景気の先行指標とされることから、投資家や政策決定者にとって重要なデータであり、リスク資産への資金の流入動向にも影響を与える指標である。
また、FRBのパウエル議長は前日16日の講演で、関税の引き上げは想定以上のインフレ加速や成長鈍化を引き起こす可能性があると警鐘を鳴らしつつも、近い将来の利下げには慎重な立場を崩していない。この政策スタンスが継続される限り、金利低下による金融緩和への期待は限定的となり、経済指標の堅調さがむしろ市場の緊張感を高める側面を持つ。
失業保険申請の減少は好材料として受け取られる一方、労働市場の強さがFRBのハト派転換を妨げる要因ともなり得る。つまり、経済の底堅さが、かえって投資家のリスク選好を抑制する可能性があり、今後の金融政策との綱引きが注目される。
ビットコインの価格推移と転換点の示唆
ビットコインは現在、83,700ドルから85,200ドルの狭いレンジで推移しており、市場では85,000ドルという水準が中期的な方向性を決定づける「転換点」になるとの見方が浮上している。オーダーフロートレーダーのMagusや仮想通貨アナリスト「Titan of Crypto」は、技術的なチャート分析に基づき、今後の急激な変動に備える必要性を強調している。特に、RSIが50を超えるなど、強気への傾きが見られるが、上値の重さが継続すれば調整局面への転換リスクも残る。
こうした背景には、米国の経済指標や金融政策が与える影響が大きく作用している。労働市場の強さが示されたことで、FRBによる利下げ観測が後退し、リスク資産にとっては一時的な逆風となる。特にビットコインのようなボラティリティの高い資産は、金利環境の変化に対して敏感であり、投機的な資金の流入・流出が価格に直結する。
したがって、85,000ドルという水準は単なる価格の目安ではなく、今後のセンチメントを左右する節目となる。突破すれば再び強気相場への道が開ける一方、反落すれば長期的な調整入りのリスクも高まる。市場は現在、まさに重要な分水嶺に立たされている。
Source:Cointelegraph