AIスタートアップのPerplexityが、モトローラとサムスンに自社AIアシスタントを標準搭載する提案を行っていることが明らかになった。Bloombergによれば、モトローラとはすでに合意に達しており、Geminiとは別のサブアシスタントとしてプリインストールされる予定だ。

一方、サムスンとの協議は初期段階だが、既に出資実績があることから、交渉が進展すればGalaxy端末に同社アプリが標準搭載される可能性もある。GeminiやChatGPTと並ぶ新たな選択肢として、スマホAIの勢力図に影響を与える動きとなるか注目される。

モトローラはPerplexity AIをセカンダリアシスタントとして採用へ

Perplexity AIは、モトローラのスマートフォンにセカンダリアシスタントとしてプリインストールされる予定であり、既に親会社であるレノボとの合意が成立している。これはGeminiとは別に選択可能な形で提供されるとされ、折りたたみ型スマートフォン「Razr」シリーズ向けには専用のカスタマイズも検討されている。今後、モトローラはマーケティング活動を通じてユーザーにPerplexityの活用を促すとみられており、通知要約や録音の文字起こしといったAI機能をさらに強化する方向性がうかがえる。

この動きは、モトローラが展開する「Moto AI」との共存を想定した設計であり、AI体験の幅を広げる選択肢として注目される。Geminiとの併存により、用途や好みに応じたアシスタントの使い分けが可能となる設計思想が透けて見える。AI主導のユーザー体験強化を狙う中、複数アシスタントの共存が実現すれば、今後のスマートフォンのUI設計において一つのスタンダードとなる可能性もありそうだ。

サムスンとの協議は初期段階 出資実績が展開の後押しとなるか

サムスンとの交渉については、Perplexity AIとのアシスタント統合に関する協議が始まったばかりと報じられている。同社は既に2024年にPerplexityに対する出資を行っており、2025年にも追加出資を検討しているという。サムスンはGalaxy AIやGeminiをベースとしたアシスタント体験をすでに提供しており、Googleとのパートナーシップも深いため、他社AIの導入には一定のハードルが存在する。

ただし、これまでの出資実績は、Perplexity側にとって有利な材料とされ、アプリのプリインストールや、オプションAIとしての統合が将来的に進む余地も残されている。特に、Galaxy S25ではGeminiを用いた「Circle to Search」などのAI機能が導入されており、既存のエコシステムにどう統合されるかが焦点となる。仮に展開が実現すれば、Galaxy端末においてGoogle以外のAIが標準の選択肢として並ぶことになり、スマートフォンのAIエクスペリエンスに多様性が生まれる可能性もある。

PerplexityのOEM戦略がもたらすAIアシスタントの選択肢拡大

Bloombergの報道によると、Perplexity AIは複数の著名スマートフォンブランドに対し、自社のAIソリューションをデフォルトのアシスタントとして採用するよう働きかけている。GoogleのGeminiやOpenAIのChatGPTに匹敵する機能を目指す同社にとって、OEMとの協業は市場での存在感を一気に高める手段となる。モトローラやサムスン以外のブランドとの交渉も進行中である可能性があり、今後の展開次第では、スマートフォン市場におけるAI体験の枠組みそのものが再定義されることも想定される。

スマートフォンにおいて、AIアシスタントが果たす役割は年々大きくなっており、通知の処理、検索補助、音声入力など日常的な操作に深く関与している。1社独占ではなく、複数のAIをユーザーが選択できる構図が整えば、利用スタイルや好みに応じた柔軟な体験が可能になる。そのため、Perplexityのような新興プレイヤーが選択肢として存在感を持つことは、競争を促進し、結果的にAIアシスタント全体の進化を後押しすることにつながるだろう。

Source:Android Central