Appleは、iPhoneのカメラ撮影時に発生するレンズフレアを低減する新たな光学技術に関する特許を米国特許商標庁に出願した。この技術では、光吸収性の微細構造グレーティングをカメラモジュールに組み込み、不要な「悪い光」を遮断し、有用な「良い光」のみを通過させる構造が採用されている。

Patently Appleの報道によると、この仕組みにより、これまで困難だった逆光や強光源下での撮影でも、鮮明な画像が得られる可能性があるとされている。一方、現時点でこの技術が実際に搭載される時期は明かされておらず、近く登場するとされるiPhone 17 Proでは48MP望遠カメラや8K録画、24MPフロントカメラなどの進化が予想されるが、レンズフレアへの直接的な対策が盛り込まれるかは不透明なままである。

特許公開で明らかになったAppleの光学新技術の全容

Appleが米国特許商標庁に出願した内容によれば、同社はカメラモジュール内に「光吸収性グレーティング」を配置する革新的な技術を検討している。これは、撮影時に侵入する不要な光、すなわちレンズフレアの原因となる「悪い光」を遮断し、被写体に必要な「良い光」のみを通過させる仕組みである。

グレーティングは直線やジグザグなどのパターンを持ち、超薄型層としてモジュールに組み込まれる構造だ。従来、強い逆光や夜間の街灯下では画面全体にフレアが発生しやすく、特に月や夜景の撮影では顕著な品質劣化が見られていた。この新構造により、光の選別が可能となれば、iPhoneでの撮影品質は新たな次元に達する可能性がある。

一方、この特許技術の導入時期は不明であり、Appleがいつのモデルに実装するかは明らかにされていない。昨年のiPhone 16 Proにはこの機構が搭載されず、同様の対策が見送られていた経緯がある。現時点では実装までのハードルや製造上の制約も予測され、技術の完成度や量産性、さらには他の光学構造との整合性が鍵を握ることとなる。

Appleが掲げる「ユーザー体験の最適化」という理念のもとで、この新技術が実装される場合、それは単なる画質向上にとどまらず、iPhoneの光学設計における大きな転換点となる可能性がある。

iPhone 17 Proにおけるカメラ進化との非連動性が示唆するもの

Appleは、iPhone 17 Proにおいて48MP望遠カメラ、8K動画撮影対応、24MPの前面カメラといった大幅なスペック向上を計画していると報じられている。特に48MPでのズーム性能は小規模に留まるとされるものの、12MPでは最大7倍ズームが可能とされ、従来モデルに比べて撮影の自由度は格段に高まると見られる。

さらに、Apple初となる8K録画機能が搭載されるとの観測は、プロフェッショナル志向のユーザーに向けた訴求力を強める要素と捉えられる。これらの進化はいずれもハードウェアの解像度や処理能力に焦点を当てており、光学構造に関する言及は現時点で確認されていない。

このことから、光吸収性グレーティングによるレンズフレア対策は、少なくともiPhone 17 Proにおいては見送られる可能性が高い。Appleはこれまでにも、特許を取得しながらも量産モデルには採用しなかった事例を多く持つ企業であり、技術的成熟度と市場性の見極めを厳格に行っていることがうかがえる。

加えて、今回の特許技術は微細構造の精度や素材の最適化が求められるため、歩留まりやコストの観点からも商用化には時間を要するとの見方がある。したがって、iPhoneのカメラ技術の進化は、必ずしも一方向ではなく、戦略的に段階的導入が進められている可能性がある。

Source:BGR