2025年10月14日、Windows 10のサポートが終了する。この節目に向け、マイクロソフトは旧OSからの脱却を急ぐが、現時点で約5億台がWindows 10のまま稼働しており、移行は思うように進んでいない。特に問題視されるのは、2018年以前の古いPCやWindows 11の要件を満たさない端末の存在であり、多くの個人や中小規模の環境ではアップグレードが現実的でない。

今後はセキュリティ更新が打ち切られ、サイバーリスクが急増する可能性も否定できないが、サポート延長には有料サブスクリプションという壁があるため、多くの利用者は対応を迫られることになる。

移行できない5億台の現実 Windows 11の壁と継続利用の選択肢

2025年10月14日にWindows 10のサポートが終了することは既定路線でありながら、StatCounterのデータによれば、2025年4月時点で約54%のPCが依然としてWindows 10を使用しているとされる。これはグローバル規模で数えて約5億台に相当する。背景には、2018年以前のハードウェアに多いWindows 11非対応の仕様があり、これらのPCはアップグレード対象から外れている。また、特に企業や教育機関ではシステム全体の更新に時間がかかるため、移行の足取りは重い。さらに、従来のUIや操作感を好むユーザー層が、あえてWindows 10を使い続けるケースもある。

一方、Windows 10を今後も使用する場合、セキュリティアップデートが終了することによる脆弱性のリスクが指摘されている。その対策としてMicrosoftは「拡張セキュリティ更新(ESU)」という有料サブスクリプションの提供を開始する予定であるが、一般消費者がこれを選択するハードルは高い。OSアップグレード不可の機種では、代替案としてLinuxへの移行や、非公式手順でのWindows 11導入もあるが、いずれも万人向けとは言いがたい。選択肢が限定される中、現実的な対応策を検討する時間はそう多くない。

Windows XPの教訓を超えるか セキュリティと互換性のジレンマ

過去のWindows XPやWindows 7の事例では、サポート終了後も深刻なサイバー攻撃を受けたことで、マイクロソフトが緊急パッチを配布する事態に発展した。特にWannaCryのような攻撃は記憶に新しく、同じ轍を踏まないための対応が求められる。しかし、Windows 10に関しては、マイクロソフトが現時点で追加のサポート延長に否定的な姿勢を示しており、原則として有料のESUプログラムへの加入が前提となる。これは企業向けに主軸を置いた対応であり、家庭用PCにまで適用されることは想定されていない。

また、Windows 11のハード要件であるTPM 2.0や特定のCPU制限が足かせとなり、物理的にアップグレードが不可能なマシンが多数存在する点が問題の根深さを物語る。OSとしての完成度が高いWindows 10が広く普及した一方で、その後継OSへの移行には高いハードルがあるという、技術的矛盾が露呈している。これまでの延命措置とは異なり、今後は自力での対応を迫られるケースが増える可能性があるが、それに備えた正確な情報提供と、実効性ある選択肢の提示が求められる局面である。

Source:ZDNET