Windows 11 Insider向け最新ビルド「11.2503.27.0」にて、「Snipping Tool」に画像からテキストを直接抽出できる新機能が追加された。これにより、従来必要だったスクリーンショットの撮影を省略し、メインツールバーから即座に抽出が可能となる。選択ツールで囲った範囲からのコピーや改行の削除、全テキストの一括取得など柔軟な操作が可能で、AppleのLive Textに近い体験が実現しつつある。

この機能は現時点でCanaryおよびDevチャネルでのみテストされており、今後の一般リリース版への反映は未定とされているが、ユーザーからの反響次第では導入される可能性も高い。Snipping Toolの進化は、日常的にスクリーンショットやメモを扱うユーザーの作業効率を確実に引き上げるだろう。

スクリーンショット不要のテキスト抽出機能がSnipping Toolに統合

Windows 11 Insider向けビルド「11.2503.27.0」では、Snipping Toolのツールバーにテキスト抽出アイコンが新設され、これまでのようにスクリーンショットを撮る前提が不要となった。従来はSnipping ToolやPhotosアプリを通じて画像を開き、アイコンをクリックしてから抽出操作を行う必要があったが、今回のアップデートによりツールの起動と同時に画面上の任意の範囲を直接選択し、その中のテキストを素早くコピーできる。選択後は一部テキストのハイライトや改行の削除、クリップボードへのコピーといった操作がドロップダウンメニューから可能となっている。

この変更により、Snipping Toolの役割は単なる画面キャプチャツールから、よりインタラクティブな情報取得ツールへと進化している。特に資料作成や翻訳、メモ取りといった場面で画像内の文字情報を扱う機会が多いユーザーにとって、操作の流れが1ステップ簡略化される効果は小さくない。AppleのLive Textに近づいたとされるこの機能は、日常的なPC作業の中で「ちょっとした手間」を減らす実用的な改善といえるだろう。

Windowsの過去の試みとAppleとの機能差に見る利便性の改善傾向

Microsoftはこれまで「PowerToys」を通じて画像内テキストの抽出機能を一部提供していたが、操作の煩雑さから実用性に課題があった。対してAppleは、2021年からiOSやmacOSに「Live Text」を搭載し、画像内テキストを指でなぞるだけでコピーできる自然なインターフェースを提供してきた。この点でWindowsは明確に後れを取っていたが、今回のSnipping Toolの改善によって、少なくとも機能面ではようやくそのギャップを縮めつつある。

ただし、操作体験という面では依然として違いが残る。AppleのLive Textは写真アプリ上で自動的にテキストが認識され、ユーザーが意識的な操作をしなくても直感的にコピー可能であるのに対し、Snipping Toolではツールを起動して範囲選択を行うという導入操作が必要だ。この差は、日常的な利便性の感覚に大きな影響を及ぼす。機能の充実も重要だが、それ以上に操作の軽さと自然さが快適なデジタル体験を支えることを改めて印象づけるアップデートといえる。

Source:TechSpot