貿易データサイトにおいて、AMDの次期Ryzen Threadripper 9985WXを含む複数の新型CPUが出荷段階にあることが確認された。64コア128スレッドの9985WXのほか、16コアの9955WX、12コアの9945WXも同時にリスト化されており、これらはいずれもZen 5アーキテクチャを採用する「Shimada Peak」世代に属する。

出荷の目的は検証用途と見られ、リリース時期の確定には至っていないものの、開発の最終局面にある可能性が示唆される。加えて、従来モデルと同様に一部コアの無効化やクロックの差異も存在し、用途別に最適化された構成が提供されることが予想される。特に商用環境では、低コアモデルによるコスト効率の高さが際立つ展開となるかもしれない。

Ryzen Threadripper 9985WXとその兄弟モデルの仕様詳細

出荷情報から判明したRyzen Threadripper 9985WXは、64コア128スレッド構成でTDPは350W、ソケットはsTR5と見られるSP6互換設計を採用する。加えて、16コア32スレッドの9955WXおよび12コア24スレッドの9945WXもリストアップされており、いずれもZen 5アーキテクチャ「Shimada Peak」を基盤とする。

各CCDのコア数およびキャッシュ構成は従来のZen 4と共通しており、各CCDあたり32MBのL3キャッシュと各コアあたり1MBのL2キャッシュが割り当てられる。最上位となる96コアの9995WXは今回のリークに含まれておらず、開発段階やリリース計画の全容は不明なままである。今回の出荷情報はあくまで検証および評価用途と考えられ、即座の市場投入を示すものではない。

これらの仕様は、特に高いI/O性能やマルチスレッド処理を必要とするワークステーション領域において、新たな選択肢となる可能性があるが、最終製品の性能や市場ポジショニングには慎重な見極めが求められる。

新世代Threadripperシリーズにみる市場投入戦略の考察

今回出荷が確認されたRyzen Threadripper 9985WXを中心とする新モデル群は、AMDの高性能志向を裏付けるものでありながら、商用分野における柔軟な需要対応も視野に入れていると考えられる。

特に、12コアや16コアといった比較的コア数を抑えたモデルを用意している点は、AI推論や大規模データ解析といった超高スループット用途以外にも、豊富なPCIeレーンやメモリチャネルを重視するエンタープライズ層を意識している可能性がある。

また、商用ライセンス費用がコア単位で課金される現状を踏まえると、コスト最適化を狙った製品設計であるとの見方も成り立つ。

今後、Computex 2025などでの正式発表がなされる場合、AMDがどの市場セグメントにどのモデルを投入するかによって、競合するIntel XeonやApple Mシリーズとの競争構図に影響を及ぼすことになるだろう。リリースタイミングとラインアップ構成が、市場全体のパワーバランスに新たな局面をもたらすか注視される。

Source:Tom’s Hardware