NvidiaはRTX 5060 Tiの発売にあわせ、2025年4月16日に最新ドライバー「バージョン576.02」を公開した。これにより、RTX 50シリーズのGPUでは3DMarkベンチマークスコアが最大8%上昇するなど、合成環境での性能改善が確認された。

一方で、同ドライバー適用後にゲーム中のフレームレート不安定やクロック挙動異常、サーマルセンサーの不具合が複数のユーザーから報告されており、実使用における安定性が課題となっている。

ベンチマークと実ゲーム環境でのパフォーマンス差は顕著であり、RTX 5070以上の上位カードでも1FPS程度の改善にとどまる例も観測された。これにより、性能向上は合成ベンチ特化であり、ゲーム用途ではドライバーのアップデートが逆効果となる可能性も否定できない。とくに不具合を抱えるRTX 50シリーズユーザーにとって、更新の可否は慎重な判断が求められる。

合成ベンチマークにおける性能向上とその限界

2025年4月16日にリリースされたNvidiaのドライバーバージョン576.02は、RTX 5060 Tiの投入と同時に登場し、RTX 50シリーズ全体に対して合成ベンチマークでのパフォーマンスを向上させた。

ドイツのComputer Baseによる3DMarkテストでは、RTX 5070以上のモデルで6〜8%のスコア向上が確認され、実際に複数のRedditユーザーも3%〜8%の向上を報告している。これに加えて、アイドル時のクロックが22MHzまで低下することで、最大7Wの消費電力削減も一部で見られたという。

こうした改善は、ベンチマーク結果の向上を目指すユーザーにとっては歓迎すべき動きである。ただし、Videocardzが実施したRTX 4090でのSteel Nomadテストでは、わずか1FPSの向上にとどまったことから、これらの最適化が50シリーズに限定的である可能性も指摘されている。

したがって、今回のドライバー改善は、あくまで特定の条件下においてのみ性能向上が明確に表れる仕様であり、すべてのユーザーが等しく恩恵を受けるわけではない。数値の改善と実使用感の間には依然として乖離が残されている。

ゲーム環境における不安定性とドライバーの課題

合成ベンチマークでの性能向上が注目を集める一方、実際のゲームプレイでは逆の評価も多数報告されている。

Reddit上では、最新ドライバー適用後にゲーム中のフレームレートが不安定になり、奇妙なクロック挙動や突然の温度上昇に悩まされているという声が広がっている。特にRTX 50シリーズにおいて、GPUのクロックが通常以上に高く維持される現象が報告されており、これはサーマルセンサーの不具合によるものである可能性があるとされている。

ドライバーのアップデートがもたらす予期せぬ挙動は、特に高負荷なゲームタイトルにおいてパフォーマンスの信頼性を損なう要因となる。従来の安定動作を優先するユーザーにとっては、このような挙動の変化は致命的であり、アップデートに慎重にならざるを得ない。

リリースノートにはブラックスクリーン問題の修正も含まれているが、安定性を重視するのであれば、以前のドライバーバージョンへのロールバックも選択肢として検討される。ハードウェアポテンシャルの最大化と安定運用の両立は、依然として難題である。

Source:Notebookcheck