XDA Developersは、高速RAMが必ずしもゲーミング性能向上に直結しない4つの理由を明示した。ゲームにおける処理の多くはCPUとGPUに依存しており、RAM速度が高くてもこれらがボトルネックとなればパフォーマンスは伸び悩む。

さらに、必要十分なメモリ容量(特に32GB)やレイテンシの低さの方が、実用上は大きな効果をもたらす。高解像度でのプレイではRAMの速度向上による恩恵が限定的となり、FPS向上の効果は3〜5程度にとどまることもある。最先端のDDR5 RAMであっても、コストに見合った成果を得るには構成全体の最適化が不可欠であり、安易なスペック信仰は慎重に再考すべき段階にある。

CPUとGPUの性能がゲーム体験の主軸を握る

XDA Developersは、高速RAMの導入がゲーミング体験において過剰評価されている実態を明らかにしている。記事では、RAMの速度向上が確かに一定のフレームレート改善に寄与する場面があるものの、ゲーム中の主たる演算処理はCPUとGPUが担っており、これらがボトルネックとなる環境下ではRAM性能を強化しても効果が限定的であると指摘されている。

とりわけ、GPUはグラフィックレンダリングやライティング、シャドウの処理を、CPUは物理演算やゲームロジックを管轄する構造から、高速RAMへの過度な期待は慎むべきである。

例えば、DDR4 3200MHzからDDR5 6000MHzへの移行は、理論上の帯域幅の増加こそあれど、ゲーム内でのフレームレート改善が一桁台にとどまることも少なくない。

特にAMDのRyzen 7 7800X3Dや9800X3Dのような大容量L3キャッシュを搭載したプロセッサは、キャッシュ内でのデータ処理が多く、RAMアクセス自体が減少するため、RAMの速度がゲームパフォーマンスに与える影響がより薄れる傾向にある。これらの構成を踏まえれば、高速RAM導入前にCPUとGPUの性能を見直す判断が現実的であろう。

速度より容量が安定性と快適性を左右する

ゲーミングPCにおけるRAM性能評価において、単純な速度の比較では不十分である。XDA Developersは、RAMの容量が速度よりもはるかに大きな影響を与えることを指摘している。

2025年時点で多くのゲームが16GB以上のメモリを推奨し、とりわけ『Black Myth: Wukong』のようなタイトルでは32GBが理想とされている。4Kやレイトレーシングといった高負荷なグラフィック環境では、16GBではバックグラウンド処理との併用により不安定さが増すため、快適なプレイ環境の構築には32GBへの増強が事実上必須となる。

また、同じDDR4環境であっても、速度を維持したまま容量を倍増することで、ゲームの安定性やマルチタスク性能は著しく向上する。これにより、プレイ中のアプリケーション切り替えや配信環境下での負荷分散にも余裕が生まれる。

したがって、DDR5への移行といった大規模な構成変更を伴わずとも、DDR4の高性能モデルで32GBを構成する方が投資対効果に優れる可能性がある。RAM投資においては、周波数よりもまず容量がボトルネックとなっていないかを確認することが最優先事項である。

高解像度ゲーム環境ではRAM速度の恩恵が逓減する

高速なRAMを搭載することで得られるゲーム性能の向上には限界が存在する。特に4K解像度でのAAAタイトルプレイ時には、XDA Developersが指摘するように、その効果は非常に限定的である。例えば、DDR5-6000MHzからDDR5-8000MHzにアップグレードしても、得られるフレームレートの上昇は3〜5FPSにとどまり、60FPSを超えて安定している場合には、ユーザーがその差を体感することは極めて困難である。

この背景には、4K環境においてはGPUの負荷が極端に高まり、CPUやRAMの影響力が相対的に低下するという構造的要因がある。逆に1080p解像度においては、描画処理の負荷が軽減される分、CPUとRAMの性能差がフレームレートにより顕著に現れることから、RAMの周波数アップによる恩恵も大きくなる。

競技性の高いFPSタイトルを240Hzや360Hzの高リフレッシュレートモニターでプレイする層においては、こうした差異は確かに意味を持つ。したがって、高速RAMの導入可否は解像度とプレイスタイルを含めた構成全体のバランスを前提に判断されるべきである。

Source:XDA Developers