Appleは2025年9月に発表予定のiPhone 17シリーズの生産を目前に控え、ロジックボードに不可欠な「低CTEガラス繊維シート」の供給不足という予期せぬ課題に直面している。この素材は、次世代A19チップなど熱を発する内部部品を保護する役割を果たしており、不足が続けば製品寿命や信頼性にも影響を及ぼす可能性がある。
背景には、AIインフラ向けGPUとiPhoneに共通で用いられるこの素材に対し、AI業界の急拡大による需要が集中している構造的問題がある。ティム・クックCEOも供給不安を認めており、大量生産が求められるiPhoneにとってこの逼迫は極めて深刻なリスクとなり得る。
Appleは初期需要に対応するべく生産開始を急ぐが、特定モデルにおける出荷の遅れは避けられない可能性があり、AIブームがスマートフォン市場にもたらす新たな摩擦が顕在化しつつある。
AI半導体とスマートフォンが競合する部材獲得戦

Appleは、iPhone 17シリーズに必要な「低CTEガラス繊維シート」の調達に苦戦している。これはロジックボード内部の熱膨張対策として不可欠な部材であり、A19チップなどの加熱を繰り返す高性能部品を安定稼働させるうえで重要な役割を果たす。Jukanlosreve氏によれば、Appleは現在、部材確保のためサプライチェーン各所に強く働きかけているとされる。
このガラス繊維シートは、iPhoneだけでなくAI向けGPUの製造にも不可欠であるため、NVIDIAや他のAI半導体メーカーも同じ材料を取り合っている構図にある。AIブームが続く中、スマートフォンメーカーであるAppleであってもその波に巻き込まれ、従来通りの部材確保が困難になっている。iPhoneとAI製品との素材競合は、従来の業界秩序を見直す引き金となる可能性も孕んでいる。
Appleが年末商戦に向けて予定する1億台規模の製造計画は、この供給問題によって一部見直しを迫られる可能性がある。AIとスマートフォン、異なる用途の製品群が同じ資源を取り合う構図が、今後のテック業界の新たな緊張を生み出していくことは避けられない。
ロジックボード素材不足が製品寿命と信頼性に及ぼす影響
iPhoneのロジックボードにおける「低CTEガラス繊維シート」の役割は、加熱と冷却を繰り返す内部の半導体構造に対する長期的な保護である。この素材が存在しない場合、温度変化によって発生する微細な伸縮が各層の歪みを招き、最終的に回路断裂や機能停止といった故障リスクを高める。iPhone 17シリーズにおいては、特にA19チップの発熱を考慮すると、その重要性は増している。
Appleはこの問題を重く見ており、ティム・クックCEOも素材供給への不安を示している。仮にこのガラス素材の供給が安定しない場合、製品の信頼性確保が難航し、結果的にブランド価値に陰りを生じさせる要因にもなり得る。特に、Pro Maxのようなハイエンドモデルでは品質への期待が高く、素材妥協は顧客離れに直結しかねない。
製品の短期的な出荷遅延は時間とともに回復可能であるが、ロジックボード素材の欠如によって発生する不具合は、Appleにとって中長期的な損失をもたらす。大量出荷を急ぐあまり素材を妥協すれば、その代償は過去の成功を損なう結果となるだろう。Appleがどのようなバランスで供給確保と品質維持を図るかが問われる。
Source:BGR