2025年に入り、Nvidiaの株価が24%下落したことにより、共同創業者でありCEOのジェンスン・フアンは推定250億ドルの資産を失った。この損失にもかかわらず、フアン氏の保有資産は依然として890億ドルに達しており、彼が率いるNvidiaは時価総額2兆4,800億ドルで世界第3位の企業であり続けている。
同社はAIチップ市場の主導的地位を維持し、データセンター向け需要により業界全体で今後5年間に1兆ドル規模の投資が見込まれる中、その将来性は依然として極めて高いとされる。過去にはインテルに後塵を拝したNvidiaだが、現在はAI分野での独自技術と市場支配力を背景に急成長を遂げており、長期的にはフアン氏の資産回復も現実味を帯びている。
Nvidia株価下落でフアン氏が被った資産減、Bloombergが報じた規模とは

2025年に入り、Nvidiaの株価は24%の下落を記録し、CEOのジェンスン・フアン氏は約250億ドルもの評価資産を失ったと報じられている。これはBloomberg Billionaires Indexが算出したデータによるもので、同年の資産減少額としては世界でも突出した規模に分類される。Nvidia株の保有比率は約4%とされており、株価の変動がフアン氏個人の純資産に与える影響は極めて大きい。
それにもかかわらず、フアン氏の資産は依然として890億ドルと推定され、世界有数の富豪の地位は揺らいでいない。Nvidiaがデータセンター向けAIチップ市場で大きなシェアを握っていることが、この高額資産を支えている要因とされる。今回の評価損失は、AI関連銘柄のバリュエーション調整の一環とも解釈されており、短期的な動揺の域を出ないとの見方も存在する。
Nvidia株は過去5年間で1,200%超の上昇を見せてきた背景があり、その反動としての下落局面は避けられないものであったと見る向きもある。フアン氏の資産変動は、テクノロジー企業の経営者にとって株価と個人資産の密接な関係性を如実に示す好例ともいえる。
AI市場の拡大とNvidiaの技術的優位、Omniverseから覗く成長戦略
Nvidiaは2012年からAI向けチップの開発を本格化させ、2022年には仮想空間プラットフォーム「Omniverse」を立ち上げた。この技術基盤はその後、大半のAIアプリケーションを支える主要なチップ群へと進化し、同社がAIインフラ領域で圧倒的な存在感を示す起点となった。2023年時点でNvidiaはAIデータセンター市場の約3分の2を占めており、一部の専門家はそのシェアを80%近い水準と試算している。
現在、Microsoft、Amazon、Metaといったテック大手がAI関連事業において総額1兆ドル規模の投資を予定しており、その恩恵を最も受ける立場にあるのがNvidiaであることは疑いようがない。特に高性能GPUに依存するAIトレーニングや生成AIの需要拡大により、同社製品の中核的価値は高まり続けている。
AI市場の中長期的な成長を前提とすれば、足元の株価調整がNvidiaの事業構造や競争優位性を根本から揺るがすとは考えにくい。むしろ、同社が構築してきた技術アーキテクチャの厚みと、業界横断的な連携構築の巧みさが、再び株価を押し上げる契機となる可能性は十分にある。
Source:24/7 Wall St.