Appleは2025年第1四半期において、スマートフォン市場でSamsungに首位を奪われ、シェアは19%に後退した。前年末にはAppleが23%を占めていたが、SamsungはGalaxy S25やAシリーズの刷新で20%に躍進。一方、AppleはiPhone 16が期待外れとされ、新製品投入も見送った。
加えて、XiaomiやOppoなど中国勢の国内優位が続く中、AI機能で出遅れたSiriの刷新も遅延している。競争環境の悪化は、Appleの今後の成長戦略に陰を落とす可能性がある。
Appleの市場シェア後退 Samsungが首位を奪還

2025年第1四半期、スマートフォン市場においてSamsungがシェア20%を獲得し、Appleの19%を上回った。わずか1ポイントの差に見えるが、2024年第4四半期にはAppleが23%、Samsungが16%であったことを考えると、短期間での逆転劇は決して小さな動きではない。Galaxy S25シリーズの投入と、価格帯を広くカバーするAシリーズの刷新によって、Samsungは幅広い層の消費者ニーズを掴んだ。一方のAppleは、この期間に新製品の投入がなく、iPhone 16も旧モデルとの差別化が弱いとの評価を受けており、販売の勢いを欠いた。
Appleの市場シェア低下は単なる一時的な数字の変動ではなく、プロダクト開発サイクルと市場対応力における戦略的課題を浮き彫りにしている。AI機能の比較においても、GoogleやAmazonに対し優位性を示せない状況が続いており、製品の付加価値を高めきれていない。かつてのような革新性が薄れたとの指摘もある中で、競争相手の進化が加速する現在の市場において、Appleの戦略転換は不可避と言えるだろう。
中国メーカーの存在感増大 国内優位が世界に波及する兆し
Xiaomi、Oppo、Vivoといった中国勢が、2025年第1四半期にそれぞれ16%、8%、8%のシェアを獲得し、Appleを脅かす構図が明確になっている。これらのメーカーは、主に中国国内での強固なシェアを維持してきたが、今後は東南アジアや欧州市場への本格展開が進むと見られている。背景には、約10億人のスマートフォンユーザーを抱える中国の巨大市場で洗練された製品戦略がある。Appleが依存してきた米国市場の規模(約2億5,000万人)とは桁が違い、競争構造も根本から異なる。
Appleにとって、これまでの「プレミアムブランド戦略」だけでは対抗が難しい場面が増えている。高性能・低価格を両立する中国製スマートフォンは、技術革新とコスト競争力で急速に進化しており、AI機能の搭載も積極的に行われている。加えて、Appleが主力とするSiriのAI強化が後回しとなっている点も懸念材料である。競争相手の技術水準がAppleの想定を超えてきたとすれば、ブランド価値だけでは立ち行かなくなる可能性も否定できない。
AI競争で後れを取るApple Siri刷新の遅延が象徴する構造的停滞
AppleのAI戦略の中核を担うはずのSiriが、2025年第1四半期においても十分なアップグレードを受けていない。これはAppleにとって、単なる機能追加の問題ではなく、製品価値の根幹に関わる重大な遅延である。他社がAIを中核に据えたサービス展開を加速する中で、Siriの停滞は競争力の低下を如実に示している。特にGoogleのGemini、AmazonのAlexa、MicrosoftのCopilotといった競合の進化と比較すると、その差はますます顕著となっている。
音声アシスタントやAI統合の分野では、単なる便利機能ではなく、ユーザー体験全体に革新をもたらすことが求められている。Appleがこの分野で主導権を維持できない場合、スマートフォンのみならず、将来的なエコシステム全体の魅力が薄れる恐れがある。AIという技術基盤で後れを取ることは、ブランド信頼の低下にもつながりかねない。Siriの刷新遅延は、その象徴としてAppleの今後の進路に深い影を落とす可能性をはらんでいる。
Source:24/7 Wall St.