ゼネラルモーターズ(GM)とマスターカード(MA)は、直近の関税関連報道による株価下落局面においても、強固な業績と安定した配当政策に支えられ、長期的な投資先としての関心が高まっている。GMは2024年に売上9.1%増、調整後EPS38%増を達成し、EVとサブスクリプション戦略を推進。

マスターカードは国際間取引の伸長とデジタル化需要を背景に、前年比14%増の売上と20%増の純利益を記録している。両社とも自社株買いと配当の強化を継続しており、アナリスト予想では最大でそれぞれ137%および36%の株価上昇余地が示されている。市場のボラティリティを活用した戦略的買い場として、これらのブルーチップ銘柄は一定の説得力を持つ。

ゼネラルモーターズが見せるEV転換と収益性の両立構造

ゼネラルモーターズ(GM)は、従来のガソリン車からEV(電気自動車)への転換を推進しながら、利益成長を確保する独自の戦略を打ち出している。2024年の売上は前年比9.1%増の1,874億ドルに達し、調整後希薄化1株当たり利益(EPS)は10.60ドルと前年から38%の増加を記録した。特に注目すべきはEV部門の進展であり、同年第4四半期には可変利益が黒字に転じている。新型キャデラック・エスカレードIQやシエラEVの投入により、EV在庫回転日数は100日から70日に短縮された。

また、GMは先進運転支援システム「Super Cruise」の導入拡大にも注力しており、36万人のユーザーのうち6割が日常的に利用していると報告されている。この機能は単なる付加価値にとどまらず、サブスクリプション収益源として将来的に年間20億ドルの規模を見込む。加えて、自動車部門の調整後フリーキャッシュフローは140億ドルと堅調であり、これにより60億ドルの自社株買いと配当増配が可能となっている。

このように、EV化による利益圧迫を懸念する市場に対し、GMは収益性の維持と成長投資を両立するモデルを示している。2025年には年間8%の利益増加を見込んでおり、成長と利益が矛盾しない経営の枠組みを固めつつある。

マスターカードの国際取引拡大とデジタル決済市場における優位性

マスターカード(MA)は、フィンテック企業としての柔軟性と、伝統的金融機関の安定性を兼ね備えたビジネスモデルを背景に、国際市場でのプレゼンスを拡大している。2024年第4四半期には、売上高が前年同期比14%増の75億ドル、調整後純利益は20%増の3.82ドルに達した。特に国際間取引は20%の伸びを見せ、旅行関連支出の回復と仮想通貨を含む非旅行支出の拡大がこれを下支えした。こうした背景には、220以上の国と地域で提供されるプラットフォームと、仲介モデルによる高収益構造がある。

マイケル・ミーバッハCEOは、堅調な消費支出と良好な雇用環境、インフレの安定が業績の持続を支える要因と認識している。さらに、世界における現金・小切手の残存規模は依然として大きく、11兆ドル規模の現金市場と1.5兆件に及ぶ紙媒体取引の置換余地は大きい。商業取引分野では800兆ドルの市場が存在し、「Mastercard Move」プラットフォームは第4四半期に取引量を40%増やす成果を見せている。

現時点での配当利回りは0.6%にとどまるが、2024年には110億ドルの自社株買いと24億ドルの配当を実施するなど、株主還元にも積極的である。株価の中期的な成長余地は大きく、アナリスト平均目標価格621.30ドルに対し、最大690ドルまでの上昇予想が示されている。マスターカードは、既存の収益性と新興分野への対応を両立させる戦略で、今後も市場での地位を強化する可能性が高い。

Source:Barchart.com