Vivoが発表したX200 Ultraは、SonyとSamsungの最新センサーを組み合わせた異例のトリプルカメラ構成と、Zeiss製外付けレンズを備える「Photographer Kit」によって、モバイル撮影体験を新たな段階に引き上げた。特注の撮影グリップや拡張バッテリー、そして焦点距離換算で200mmの望遠性能を実現するアクセサリは、コンパクトDSLR代替を真剣に目指した姿勢の表れである。
対照的に、SamsungはGalaxy S25 Ultraにおいて旧型センサーの使い回しや限定的なハード刷新にとどまり、かつての実験精神が見られない。技術的な最適化の継続も限界があり、革新の舞台で主導権を握るのは、もはやSamsungではないかもしれない。
DSLRの代替を狙うVivo X200 Ultraのカメラ構成と専用キットの全貌

Vivoが発表したX200 Ultraは、35mm焦点距離のSony LYT-818メインセンサー、同型の超広角センサー、さらにSamsung製の200MP ISOCELL HP9望遠センサーを組み合わせた三眼構成により、モバイルカメラの枠を超えた仕上がりとなっている。特筆すべきは、Zeiss製2.35倍の望遠コンバーターを物理的に装着可能な点であり、最大8.7倍ズーム、焦点距離換算で200mm相当という、従来のスマートフォンでは達成困難だった望遠性能を実現した。この構成は、単なるハードウェアの羅列ではなく、オート撮影ユーザーが本格的な画作りを楽しめるよう意図された設計である。
加えて、Photographer Kitと呼ばれる専用アクセサリは、グリップ、録画ボタン、設定ダイヤル、ストラップといった物理的要素を加え、使用感までをもコンパクトカメラに近づけた。さらに2,300mAhの追加バッテリーを内蔵し、計8,300mAhという異例の容量で長時間の撮影にも耐え得る仕様となっている。これは単なるスマホアクセサリの域を超えており、モバイル撮影を本気で考える層にとって、新しい選択肢になり得る構成といえる。
一方で、こうした挑戦がVivoの限られた市場展開によって普及するとは限らないが、技術的なインパクトは十分に大きい。コンパクトカメラの衰退とDSLRの過渡期にある今、X200 Ultraのような製品が一定の役割を果たすことは無視できない事実である。
カメラ進化を止めたSamsungが直面する“飽き”と停滞
Galaxy S25 Ultraは、AIや画像処理の強化を前面に押し出しつつも、背面カメラ4基のうち新しくなったのは超広角センサーの1基のみで、他3つは前世代のS24 Ultraと変わらない構成を踏襲している。また、Samsungは自社製の最新センサーISOCELL HP9を搭載せず、旧型のHP2を使い続けていることからも、ハードウェア面での革新性が抑制されていることがうかがえる。これに対して、Vivoは同HP9をX200 Ultraに積極採用しており、競合に先んじた構成となっている。
かつてのGalaxy S20 Ultraには「すべてを詰め込んだ」感があり、技術的好奇心を掻き立てる仕上がりがあった。しかしS25 Ultraは高品質である反面、予測可能なアップデートにとどまり、製品としての新鮮味や驚きが乏しくなっている。Samsungが主張する「AI最適化で十分」という論理は他社も実現可能な領域であり、競争力の源泉とはなりにくい。
このような現状では、継続的な最適化よりも新しい体験を提案する姿勢が求められる。Galaxyシリーズのようなプレミアムモデルが、限界突破に挑戦する場から、無難なアップグレードの象徴へと変わりつつあるのであれば、かつての冒険的な精神を見直すタイミングにあるのではないか。市場は単なる完成度だけではなく、情熱ある挑戦にこそ惹かれる可能性もある。
Source:SamMobile