2025年第1四半期、Netflixは売上高と利益の両面で市場予想を上回り、営業利益は前年比27%増の33億ドルに達した。EPSは6.61ドルと予想を大幅に上回り、営業利益率も32%へと改善。視聴者のエンゲージメントを保ちつつ価格改定を成功させ、広告事業の台頭が収益基盤を一段と多様化させている。

新たなライブイベントや子供向けコンテンツの強化、広告プラットフォーム「Netflix Ads Suite」の導入によって収益モデルを進化させ、WWE放送やリアリティ番組などでも支持を拡大。ウォール街では中程度の買い評価が継続されており、株価には7.5%の上昇余地が残されている。

好調な四半期業績と広告戦略の進展は、景気の不透明感が続く中においても、Netflixがストリーミングを超えた総合メディア企業としての地位を確固たるものにしつつある兆しと捉えられる。

成長をけん引する広告事業と新フォーマット戦略の多面展開

Netflixは2025年第1四半期において、広告事業の拡充が業績押上げの主因のひとつとなった。特に広告付きプランの展開が奏功し、既存の加入者基盤に加えて、新規層の獲得にも貢献している。また、同社が独自に構築した広告技術基盤「Netflix Ads Suite」の導入が米国市場で始まり、今後はグローバル展開を視野に入れている。これにより高度なターゲティングと効果測定が可能となり、広告主の信頼を獲得する基盤が整いつつある。

さらに、プログラマティック広告の拡大も進行中であり、APAC市場では第2四半期中に運用が開始される予定である。このように技術的基盤とオペレーションを同時に強化することで、同社の広告ビジネスは収益の柱としての確度を高めている。また、コンテンツ面では「Ms. Rachel」や「Inside」などの新機軸作品が視聴者層の幅を広げる役割を果たしており、WWEの週次放送を通じてライブイベント分野へも進出した。

以上の施策は、ストリーミングの枠を超えたメディア企業としての自立性を追求する姿勢の表れであり、広告収益の急成長と相まって今後の業績見通しに大きく寄与する可能性を秘めている。ただし競合との広告単価競争やプラットフォーム多様化に伴う調整課題にも引き続き注視が必要である。

収益性と市場評価を支える財務実績とオペレーション効率

Netflixは第1四半期において、営業利益が33億ドル、営業利益率は前年の28%から32%へと改善した。1株当たり利益も前年同期比25%増の6.61ドルと、いずれも市場予想を上回る結果であった。これは、価格引き上げを受け入れられるブランド力と、コスト効率の高い運営体制が両立していることを示している。コンテンツ投資の戦略的な最適化や、グローバル市場での価格戦略の柔軟な導入が奏功しており、特にマクロ経済の逆風下においてこのパフォーマンスは際立っている。

通年見通しでは売上高が435億〜445億ドルとされ、第2四半期には為替調整後で前年比17%の売上成長が予測されている。営業利益率も33%に達する見込みであり、収益構造の強化が持続している状況である。加えて、会員数の着実な増加が収益の下支えとなっており、ストリーミング依存から脱却したビジネスモデルが機能している。

市場では現在も「中程度の買い」評価が維持され、目標株価は1,077.77ドルとされる。現行水準からの上昇余地は約7.5%とされており、財務体質と中長期の収益見通しが株主価値を一定程度下支えしているといえる。ただし、グローバル景気の下振れリスクや、広告事業への依存度が高まることによる不確実性も慎重に見極める必要がある。

Source:Barchart.com