サムスンが米国で出願したデザイン特許により、同社が縦方向に展開するロール式スマートフォンの開発を進めている可能性が浮上した。DomoAIとxleaks7によるリークでは、特許画像に小型ディスプレイと厚い下部ベゼルを備えた構造が描かれ、展開時には縦に画面が伸びることが示唆されている。

モーターや巻き取り機構が下部に内蔵されていると見られ、ボタンの配置や画面仕様の詳細は未判明。過去にOppoやMotorolaも類似技術を試みたが製品化には至らず、サムスンのアプローチが今後どのような形で結実するかが注目される。

特許画像が示すロール式スマホの構造と展開方式

米国で出願されたサムスンのデザイン特許には、小型ディスプレイと厚みのある下部ベゼル、そして縦方向に展開されるディスプレイの構造が示されている。DomoAIとxleaks7が作成したレンダリングによれば、このデバイスはGalaxy Z Flipに近いコンパクトな形状から、画面が上方向に拡張するギミックを持つ。特許に記載された構造では、ディスプレイがフレームを上下に押し広げるのではなく、本体内部から巻き取られるように伸びる仕組みと見られる。また、本体側面の覆いがディスプレイの保護と展開を支える可能性がある。

この「アゴ」と呼ばれる下部ベゼル部分には、ロール機構やモーター、巻き取り収納されたディスプレイユニットが収められていると推測され、厚みのあるベゼルはそれを実装するための設計と考えられる。2023年の出願というタイムラインからも、現在進行中の開発段階にある可能性があるが、特許だけでは製品化の有無は判断できない。だが、物理的なボタンの省略や左右非対称のデザインから、既存の折りたたみとは一線を画す使用感が期待される構造であることは確かだ。

OppoやMotorolaの先例と異なるサムスンのアプローチ

過去にOppoが披露した「Oppo X 2021」や、Motorolaの縦方向拡張型コンセプトモデルなど、ロール式ディスプレイを採用した試作機は存在してきた。しかしいずれも試作段階に留まり、市販化には至っていない。その多くが実用性や量産性、あるいはユーザー体験の面で課題を抱えていた点を考慮すると、サムスンが現在出願中のデザイン特許は、従来の限界に対する一つの回答となるかもしれない。

特許で見られる厚みのあるベゼルや、展開機構を内包する独特のフォルムは、初期段階でのハードウェア制約を逆手に取った設計とも受け取れる。すでに折りたたみスマートフォン市場を牽引するGalaxy Zシリーズで培ったノウハウを活かしつつ、これまでのロール式端末が越えられなかった「日常使用に耐える堅牢性」や「展開時のスムーズな動作」を両立させる方向性が意図されている可能性もある。ただしこのアプローチが、従来のフリップ型デバイスとどのように共存・住み分けされるかは、今後の開発次第である。

Source:NotebookCheck