東京証券取引所に上場する投資企業Metaplanetは、新たに2,800万ドル相当のビットコインを取得し、保有残高を4,855 BTC、時価総額4億2,200万ドル超にまで拡大させた。2024年からビットコイン購入を開始して以降、同社株価は1,200%以上上昇しており、「アジアのMicroStrategy」とも称される戦略的な暗号資産の積極保有が注目を集めている。
CEOのサイモン・ゲロヴィッチ氏は平均取得単価が8万5,386ドルであることを明かし、単なる投資にとどまらず、金融とイノベーションの融合を志向する姿勢を示した。
Metaplanetが330 BTCを追加取得 保有総額は4億ドル超に拡大

Metaplanetは2025年4月21日、新たに330枚のビットコインを取得したことを発表した。取得総額は約2,820万ドル、1BTCあたりの取得単価は約85,605ドルである。これにより、同社のビットコイン保有数は4,855 BTC、総取得額はおよそ4億1,450万ドルとなり、保有資産の時価評価額は4億2,200万ドルを上回った。Metaplanetは2024年からビットコインの積極的取得を開始しており、株価はこの間に1,200%以上上昇している。同社は現在、企業資産の中核としてビットコインを位置付けており、金融と技術革新の融合を図る姿勢を明確にしている。
この戦略は米国のMicroStrategyと酷似しており、ソフトウェア事業から財務戦略としてのビットコイン活用へと転換した流れを踏襲している。Metaplanetは「アジアのMicroStrategy」として市場で注目を集めており、暗号資産を通じた株主価値の向上を図る企業の代表例として台頭している。ただし、2025年4月22日時点では株価が1%下落するなど短期的な変動は見られる。市場は、同社のビットコイン依存度の高さを注視しており、今後の戦略展開と財務リスク管理が重要な焦点となろう。
ビットコイン財務戦略企業としてのMetaplanetの再定義と意義
Metaplanetの一連のビットコイン購入は、単なる投資行動ではなく、自社の経営戦略そのものを再定義する動きと位置付けられる。同社はホテル事業を展開しながらも、暗号資産の保有を主要な財務構成要素と捉えており、これは従来の企業経営の枠を超える大胆な構想である。CEOサイモン・ゲロヴィッチ氏は、暗号資産が「金融とイノベーションの融合」を象徴する存在であるとし、その信念を明確にしている。取得されたビットコインの平均購入価格は85,386ドルとされ、マーケット水準と比較しても割高感は否めないものの、同社の中長期ビジョンを体現している。
企業が暗号資産を財務戦略に組み込むことはリスクを伴う反面、インフレ耐性や国際的な流動性、分散化という観点から強力な資産保全手段ともなり得る。Metaplanetの動きは、特にアジア市場において、暗号資産を巡る企業財務のあり方に一石を投じている。また、他企業も同様の戦略に追随する兆しがあり、2024年以降の暗号資産市場における法人需要の拡大と株価の連動性を見極める上で、同社の事例は重要な先行指標となる可能性がある。
海外企業との比較に見るMetaplanetの位置づけと今後の展望
現在、MicroStrategyが保有するビットコインは53万8,000 BTCに達し、企業として世界最大の保有量を誇る。これに対してMetaplanetの4,855 BTCは桁違いではあるが、東アジア市場において上場企業がここまで明確なビットコイン財務戦略を打ち出している例は稀であり、その存在感は際立っている。特に、Nasdaqに上場する中小企業が同様の流れに乗りつつあることを考慮すれば、Metaplanetの戦略が一過性ではなく、地域的な潮流の一部として定着する可能性もある。
加えて、2025年には同社が戦略諮問委員会にエリック・トランプ氏を迎え入れるなど、国際的な影響力を意識した経営陣の布陣も注目に値する。彼のビジネス経験とビットコインに対する関心は、企業ブランドの訴求力向上に寄与する可能性がある。ただし、こうした動きが株主にどのような中長期的成果をもたらすかは現時点で未知数であり、特にボラティリティの高い暗号資産市場においては、慎重な財務統制と説明責任が求められる。Metaplanetの今後は、資産規模の拡大以上に、ガバナンスと市場との対話能力にかかっている。
Source:Decrypt