Google Photosが一部ユーザー向けに、新たに通常のSDR画像を後からUltra HDR形式へ変換できる機能を導入した。対象バージョンはv7.24.0.747539053で、HDR強度は0~100の範囲で編集可能となる。従来は撮影時にHDR設定が必要だったが、今後は保存済みの写真にも高コントラストと鮮やかな発色を適用できる点が大きな進化といえる。

この形式はAndroid 14で導入されたJPEG_Rを利用しており、Pixel 9のような高輝度AMOLEDディスプレイで真価を発揮する。メタデータによりSDRとの下位互換も保たれ、ファイルサイズの増加もわずか約25%に抑えられる設計だ。HDR表示における手軽さと高画質の両立を狙った仕様と見られる。

ただし、機能はアプリのアップデートだけで即座に利用可能とは限らず、Googleの段階的な有効化処理が必要とされる。旧HDR効果機能の置き換えとも言えるこの新機能は、GoogleのAI処理技術によってよりスマートな画像最適化が行われている可能性がある。

撮影済みのSDR写真もHDR化へ Google Photos新機能の仕組みと提供状況

Google Photosに追加された新機能により、従来のSDR画像を後からUltra HDRへと変換できるようになった。対象はバージョン7.24.0.747539053以降で、編集ツール内にHDR調整スライダーが表示される。強度は0~100の範囲で細かく設定でき、従来の「HDR効果」機能と置き換わる形で導入されている。ただし、この機能はすべてのユーザーに一律で配信されるわけではなく、Googleによる段階的な有効化が必要となる仕様だ。

このHDR変換は、Android 14で導入されたJPEG_R形式を活用し、明るさに関するメタデータをSDR画像に付加することで実現している。そのため、ファイルサイズはおおよそ25%の増加に留まりつつ、HDR対応ディスプレイではコントラストや色彩が大幅に向上する。一方で、非対応のSDRディスプレイでも正常に表示可能で、下位互換性が確保されている点も利便性を高める要因である。

このように、過去に撮影した写真にも新しい視覚体験を適用できる今回の機能は、単なるエフェクトの更新ではなく、表示技術の進化と編集体験の一体化を象徴する機能といえる。写真保存と編集の両側面において、HDR活用の裾野がさらに広がる契機となる可能性がある。

JPEG_RとAMOLEDが描く新たな表示体験 Pixel 9が示すHDR活用の到達点

Ultra HDRの最大の魅力は、JPEG_R形式に対応するPixel 9のようなAMOLEDディスプレイで再生した際の表示品質にある。HDR化された写真は、明部と暗部の階調差が際立ち、特に明るい屋外での表示で違いが顕著に表れる。表示の核となるのは、SDR画像に追加された輝度マップによる調整であり、実際の画像データ自体はSDRとして保持されつつ、対応環境でだけHDRとして展開される。このアプローチにより、従来のストレージ運用や互換性も犠牲にならない。

この技術が実用化された背景には、ディスプレイ性能の向上とGoogleのAI画像処理技術の発展があると考えられる。HDRを新たに撮影するのではなく、既存データの文脈を再解釈して高画質化する今回の試みは、スマートフォンによる写真体験を静止画から“演出可能なビジュアル”へと変化させる可能性を含んでいる。すでに所有する写真データにも再評価の余地が生まれる点で、この機能の価値は単なる技術的なトレンドを超えて、日常に根ざした魅力として広がるだろう。

Source:NotebookCheck