NVIDIAはドライババージョン576.02を通じ、Windows 11 24H2環境におけるブラックスクリーンや全体的な安定性の問題に対応したが、一方でGPU温度センサーに関する重大な不具合が新たに報告されている。とりわけRTX 5090をはじめとする複数のGPUにおいて、起動直後に表示される温度が25度で固定される問題が確認されており、再起動以外に有効な修正手段は見つかっていない。
Afterburnerなどの外部ツールとの連携にも支障を来たしており、温度に応じたファン制御が機能しないケースも散見される。こうした状況を受け、ユーザーの一部は旧バージョンへのドライバロールバックを選択しているが、根本的な解決には至っていない。
GPU温度固定の不具合は複数世代に影響拡大

NVIDIAのドライバ「576.02」によってWindows 11 24H2での安定性向上が図られたが、その一方で温度センサーの読み取りに深刻な障害が発生している。
代表例として、Asus ROG Astral RTX 5090のユーザーから、GPU温度が常時25度で固定表示されるという報告がGeForceフォーラムに寄せられている。加えて、RTX 5080や5070、さらにはRTX 40シリーズや30シリーズを含む広範な製品群でも同様の症状が確認されており、世代に依存しない問題として拡散している点が注目に値する。
この現象は、NVIDIAのAPIが起動直後の値を保持したままブロードキャストし続ける仕様に起因している可能性がある。再起動を経ることで正確な温度情報が表示されるようになるが、通常のシャットダウンではWindowsの高速スタートアップ機能により不具合が持続する場合がある。
温度制御をファン動作と連動させているAfterburnerやFancontrolなどのツールでは、本来の制御が効かず冷却性能に支障をきたす可能性も指摘されている。ハードウェア保護の観点からも、根本的なドライバ修正が早急に求められる。
ドライバ更新による安定性向上とリスクの並存
NVIDIAがリリースしたGeForceドライバ576.02は、特にWindows 11 24H2で発生していたブラックスクリーンなどの安定性問題に対処する目的で導入された。しかし、このバージョンでは新たにGPU温度表示が誤動作する問題が発生しており、安定性向上と新たな障害のリスクが並存する結果となっている。
温度読み取り不良は、NVIDIA Overlayでは正しい値が確認できる一方で、サードパーティの監視ツールやファン制御ソフトウェアでは誤情報を基に動作するため、ファンの回転数が必要に応じて上がらないという実害が発生している。
こうした事象は、GPU性能の最大化と安定運用を両立させる上で深刻な懸念材料となる。多くのユーザーは回避策として旧ドライバへのロールバックを選択しており、これはドライバアップデートによってもたらされる一種の副作用を象徴していると言える。NVIDIAとしては、単なる不具合修正にとどまらず、ユーザーの運用環境全体に及ぶ影響を踏まえたドライバ品質の再評価が不可欠である。
誤動作の回避には再起動とロールバックが鍵
GPU温度が固定される不具合に直面したユーザーの間では、Windowsの再起動によって問題が一時的に解消されるという知見が共有されている。これは、高速スタートアップによってOSの一部状態が持続する仕組みが影響しており、完全なシャットダウンでは不具合が温存されたままとなるケースがあるためである。従来のシャットダウンでは回避できず、「再起動」が唯一の確実な修正手段となっている。
このような状況を受け、一定数のユーザーはドライバのロールバックに踏み切っており、これにより温度センサー問題が解消される例も報告されている。
ただし、この手法は最新の安定性改善を手放す選択でもあり、現行の運用においては二律背反の対応が求められる。ソフトウェアによるハード制御の精度が極めて高い現代のGPU環境において、こうした不具合は性能だけでなく安全性にも直結する問題となるため、抜本的な修正が望まれる。
Source:Neowin