インテルがカナダ・トロントで公開した技術職の求人情報に、次世代Arc GPUに関するGDDR7メモリの検証業務が記載されたことで、次期「Celestial」世代の一部モデルが新規格のVRAMを採用する可能性が示唆された。該当情報はHaze2K1によりX上で共有され、GDDR6とGDDR7の両方に言及されている点から、CelestialはGDDR7、Druidは従来通りGDDR6を維持する構成も想定される。

ジム・ジョンソン氏は、CelestialシリーズについてXe3Pアーキテクチャを採用し、性能発揮に向けた準備が整っていると語っており、GDDR7採用の動きと合わせて、インテルがエントリー領域にとどまらず、より競争力のあるGPU開発を志向している兆候とみられる。

次世代Arc Celestialの技術的進化と求人情報から読み取れる仕様

インテルが2024年4月16日にカナダ・トロント地域向けに掲載した求人情報には、次世代Arc GPUに関する「GDDR6/7の検証および特性評価」の業務内容が明記された。この文言から、同社が開発中のCelestial世代GPUの一部モデルが、最新のGDDR7メモリを搭載する可能性があるとの見方が浮上している。

GDDR7は、転送速度や帯域幅の向上が期待される次世代メモリ規格であり、これを前提としたチューニング業務が記載されたことは、製品計画の一端を示唆する重要な資料である。

求人内容では、GDDR6も対象に含まれていたため、従来のDruid世代GPUとCelestial世代が異なるVRAM構成を採る可能性がある。現在市場に投入されているArc B580やB570は、それぞれGDDR6を搭載し、価格帯は249ドルおよび219ドルで構成されている。

これに対し、GDDR7搭載の新型が投入されれば、より高性能なラインへの拡張も視野に入る。インテルのこれまでのArc戦略からすれば、エントリーからミドルレンジの堅実な市場を主戦場としてきたが、この求人内容から、将来的により上位のセグメントへの進出準備を進めている可能性も否定できない。

Xe3Pアーキテクチャの採用とCelestial世代の戦略的布石

クライアント・コンピューティング・グループSVPのジム・ジョンソン氏は、2024年初頭にPCGamerとの対話の中で、次期Arc Celestial GPUがXe3ではなく、社内開発のXe3Pアーキテクチャを採用する予定であると語った。この点は、次世代製品がアーキテクチャ面でも刷新を遂げる意向を示す重要な発言であり、GDDR7との組み合わせが性能向上に向けた一体的な構想である可能性をうかがわせる。

Xe3Pアーキテクチャは詳細が未公表ながらも、従来比での並列演算処理や電力効率の改善が図られる設計であることが予想される。Arc GPUが従来担ってきた1080pおよび1440pゲーミング領域に加え、より負荷の高いレンダリングやAI処理においても適応可能な構造を志向している場合、GDDR7の高速性との親和性は高いと考えられる。

また、Celestialシリーズが市場投入された場合、RTX 50シリーズなどNvidiaの次世代製品群と直接競合する可能性もある。ただし、現時点でその投入時期や製品ライン構成は明かされておらず、あくまで求人や発言に基づく技術動向の一端に過ぎない。インテルがArcブランドで描くGPU戦略が、エントリー志向から脱却し得るかどうかは、今後の開発動向と市場の反応次第といえる。

Source:NotebookCheck