カメラやバッテリーに代わり、AIが次世代スマートフォンの新たな選定基準として台頭している。Tom’s Guideが比較したのは、Samsung Galaxy S25、Google Pixel 9、Apple iPhone 16のフラッグシップ3機種。それぞれが独自のAI編集ツールや文章生成、通話要約、視覚認識機能を備えており、特にPixel 9とGalaxy S25はマルチモーダル対応やアプリ横断型のアクションなど実用面で一歩先を行く。

一方、iPhone 16は洗練されたUIと統合性を武器にしつつも、本格的なアプリ間連携やリアルタイム操作は次期iOSへの期待に委ねられている。

実用性で差が出るAI写真編集 PixelとGalaxyが先行

Galaxy S25はGenerative EditやPortrait Studioといった視覚演出に強みを持ち、特に日常的な写真編集における自動化と操作の手軽さが際立つ。オブジェクトの削除や背景補完はもちろん、動画から音声ノイズを消すAudio Eraserなど、ユーザーの「手間を省く」工夫が散りばめられている。Pixel 9も同様に、Magic EditorやReimagineを活用し、合成や補正をテキスト入力で完結できる点が注目される。撮影者を後から写真に追加するAdd Meなどは、家族写真などのニーズにフィットする。

一方で、iPhone 16はClean UpやImage Playgroundといった表現機能を備えているが、PixelやGalaxyに比べると操作の柔軟性やAIの判断精度に違いがあるように感じられる。特にプロンプトベースでの画像生成では、GoogleとSamsungの方が多様なニーズに応えやすい印象を受ける。Appleらしい一貫したUI設計は評価できるが、実用性という点では進化の余地がある。

テキストと音声の生成・要約機能はGalaxyが広範囲に網羅

Galaxy S25の「Galaxy AI」は、Chat AssistやNote Assistなどの文書処理ツールに加え、通話や音声の要約を可能にするTranscribe Assistまで用意されている。さらに、Browsing AssistによってWebページの要約や翻訳もこなすため、調べ物や情報整理の場面での利便性が高い。Live Translateは通話中でも即座に翻訳が行えるため、多言語間でのコミュニケーションにも対応できる万能さがある。

iPhone 16ではWriting Toolsを中心に、テキストリライトや要約が可能な一方、Apple Intelligenceの導入は段階的で、特にSiriの文脈理解やアプリ横断機能はまだ限定的である。Pixel 9はRecorderアプリやKeep Magic Listsによる音声からの書き起こしやリスト生成に力を入れているが、通話要約などはミッドレンジ機には未対応であり、全体的な対応範囲には差が見られる。AIを日常業務に活かす観点では、Galaxyの一貫性と守備範囲の広さが際立っている。

デジタルアシスタントの進化とOS統合度に見る違い

Pixel 9はGoogle AssistantからGeminiへの完全移行を果たし、テキスト・画像・動画を組み合わせたマルチモーダルな対話が可能となった。Gemini Advancedを用いることで、アシスタントの対応範囲は従来以上に拡張されており、端末上での操作からクラウド連携まで一貫してサポートされる。Galaxy S25もGeminiを標準搭載し、Cross-App Actionにより複数アプリを横断する一括操作が実現している。

iPhone 16のSiriは、より自然なやり取りや追加入力に対応するよう進化しているが、現時点では画面上の情報認識やアプリ間連携には非対応。これらは2025年後半のiOS 19での対応が予定されており、現時点での使い勝手には差がある。Appleの強みであるセキュリティとハードウェアとの統合性は今後の展開次第だが、現状ではPixelとGalaxyのAIアシスタントの実装密度にやや分がある構図となっている。

Source:Tom’s Guide