Googleが展開したAndroid Auto v14.2アップデートにおいて、以前から一部で注目されていた「Glasses」という文字列がコード内から削除されたことが明らかになった。これはスマートグラスとの統合機能を示唆するもので、ヒンディー語版アプリで見つかったナビゲーションと連動した記述がその根拠とされていたが、翻訳ミスの可能性も指摘されている。英語版コードでは同様の文言が確認されておらず、今回のバージョンでも新機能の導入はなく、バグ修正などに留まる内容となった。
将来的なAR連携機能の布石と捉えられていた「Glasses」の記述が消えたことは、開発中止あるいは一時的な撤回を示唆する可能性もある。4月上旬にはGoogleがTED 2025で披露したXRデモが話題を呼んだが、今回の更新ではその流れとは切り離された結果となった。
Android Auto v14.2から削除された「Glasses」記述が意味するもの

Android Autoのバージョン14.2では、以前アプリのコード内に確認されていた「Glasses」という語句が完全に削除されたことが確認された。これは、インド市場向けのヒンディー語版アプリに見られた「ナビゲーションを開始してグラスを起動する」といった記述と関連しており、スマートグラスとの連携を示唆するものとして話題になっていた。だが、英語版ではこのような文字列は発見されておらず、翻訳の誤解である可能性も浮上している。9to5Googleの解析では、当該文字列は最新の安定版コードには一切存在せず、当初の発見が誤訳または試験的な実装だった可能性が高いという。
この削除は、Googleがスマートグラス機能の実装を見送った、あるいは計画の一時停止を決めたことを示す兆候と捉えられる。ただし、開発中のコードが安定版に移行する際に省略される事例は過去にも存在しており、今後のバージョンで同様の記述が復活する可能性も否定はできない。現時点では機能の存在を裏付ける確証はなく、実装の有無は依然不透明なままである。
TED 2025で披露されたXR技術との関連性と今後の展望
GoogleはTED 2025において、拡張現実(XR)分野における技術デモンストレーションを行っており、その中で披露された「メモリー」機能は、スマートグラスを通じた実用性を感じさせる内容となっていた。この機能は、ユーザーが日常の視覚情報を記録し、後から「物の場所」をAIに尋ねて再確認できるというもの。たとえば、ホテルの鍵を置いた場所をGeminiに尋ねると、過去の視覚データから推定して回答が返される仕組みである。これは従来のアシスタント機能とは一線を画す直感的な補助システムであり、XRとの親和性も高い。
今回のAndroid Autoアップデートで「Glasses」に関する記述が削除されたことは、このTEDでのデモとの関連を否定する動きとも受け取れる。ただ、TEDで披露された内容はあくまで研究開発段階の一環であり、一般向けサービスへの落とし込みは時期尚早とも考えられる。今後、スマートグラスを軸とした体験がAndroid Autoと統合される展開があるとすれば、それはGoogleのXR戦略の中で慎重に進められることになるだろう。
Source:Android Central