Vivoが中国で正式発表したX200 Ultraは、VS1とV3+という2つの独自イメージングチップを搭載し、撮影前と後の処理を分担することで画質向上を図った意欲作である。新たに導入された「Multi-Focal Portrait Video Master」では、4K 120fps撮影や10bit Logにも対応し、映画のような映像表現が可能となった。

また、ZEISS製望遠コンバーターを含む「Photographer Kit」など、プロ志向の外付けアクセサリーにも注目が集まる。Snapdragon 8 Elite、16GBメモリ、6000mAhバッテリーといったハイスペックを備えながらも、中国限定販売である点が惜しまれる。

撮影体験を革新するVS1とV3+のデュアルチップ構成

X200 Ultraに搭載されたVS1とV3+の2基のイメージングチップは、画像処理の工程を前後で分担する設計となっている。VS1はRAWデータの初期最適化を担当し、カメラセンサーから取得した情報を即座に高精度化することで、ノイズの少ないクリアな画像を生成する。またV3+は、従来のVivo機における後処理エンジンの役割を継承し、色調整やHDR合成、ディテール補正といった処理を施す。これにより撮影直後の段階から完成度の高い写真が生成される構造が整っている。

この構成は単なる高性能化だけでなく、リアルタイムでの精細な画づくりを可能にし、ポートレートや夜景撮影などでも一貫した画質を担保する仕組みとなる。2基のチップを分業的に使うアプローチは他社でも一部見られるが、Vivoはチューニングに長けており、全体の画作りに明確な差がある。今後この方式がトレンドとして広がるかどうかは未知数だが、現時点での完成度は極めて高いと評価できる。

プロ仕様のアクセサリーと映像機能が拓く新たなカメラフォンの地平

Vivo X200 Ultraは、ZEISS製の2.35倍望遠コンバーター、専用カメラグリップ、高耐久ケースをセットにした「Photographer Kit」を公式に展開している。これによりスマートフォンながらも交換レンズに近い表現の幅を得られ、光学的な質感の変化や被写界深度の調整を本格的に楽しむことが可能となった。また、新たに搭載された「Multi-Focal Portrait Video Master」により、映画のような被写体追従や前後ボケの自然な表現が実現されている。

さらに、4K120fpsや4K60 10bit Logといった動画撮影にも対応し、ポストプロダクションを前提とした色調整や映像編集にも耐える設計となっている。これはカメラとしての役割が静止画のみにとどまらず、動画制作にもシフトしつつある現代の利用実態を的確に捉えた設計思想の表れだろう。Xiaomiが先行して似たキットを導入していたが、Vivoは外付けレンズまで正式サポートする点で差別化されており、今後の進化にも注目が集まる。

ハード性能は最上級 だが中国国内限定展開という壁

X200 UltraはSnapdragon 8 Eliteを中核に据え、メモリ16GB、ストレージ1TBまでの構成が可能なスペックを備えている。6000mAhという大容量バッテリーと90Wの急速充電により、長時間の撮影や処理負荷の高い作業にも耐えうる設計がなされている。6.82インチQHDディスプレイは2160HzのPWM調光に対応し、屋外でも視認性に優れる高輝度設計を持つなど、あらゆる面で抜かりのない仕上がりが確認できる。

しかしながら、昨年のX100 Ultraと同様に、今回のX200 Ultraも中国限定での展開にとどまることが明言されている。技術的に他のフラッグシップを圧倒するポテンシャルを持ちながら、国外市場での入手性が極めて低いという点は、世界中の関心を集める一方で多くの購入希望者にとって障壁となる。グローバル展開の有無が、製品価値の伝播と認知にどう影響を与えるのか、今後の動向を見守りたい。

Source:Android Central