SonyがXperia 1 V向けAndroid 15アップデートにおいて、一部のユーザーが長年待ち望んでいた「解像度制御」設定を密かに実装していたことが明らかとなった。これにより、通常は自動的に切り替わる4K解像度を常時維持できる可能性が示唆されたが、実際には機能せず、ソニー自身が誤実装だったと認めたことで、今後のアップデートで削除される運命にある。
約1,400ドルのフラッグシップモデルに期待されていた自由度の高い表示制御が見送りとなったことを受け、Redditを中心にファンの怒りが広がっている。特に「ディスプレイが購入理由のひとつだった」と語る声には、仕様制限に対する深い失望が表れており、今後のブランドイメージへの影響も無視できない状況だ。
Xperia 1 Vに幻の「常時4K解像度」設定が登場も、ソニーが誤実装として削除を決定

ソニーはXperia 1 V向けのAndroid 15アップデートにおいて、ユーザーが長年待ち望んでいたディスプレイ解像度を固定する機能を一時的に導入していた。この設定が有効化されれば、3,840×1,644の4K解像度を常時表示させることが可能となり、従来のように特定の4Kコンテンツ再生時にだけ高解像度へ自動切替が行われる仕様から脱却できる可能性があった。しかしこの機能は実際には動作せず、ソニーは「誤って含まれていた設定」であると公式に説明。今後のOTAアップデートで削除する方針を明らかにした。
この一連の動きは、Xperia 1 Vの価格帯(約1,400ドル)やその主な訴求点である高精細ディスプレイを考慮すると、ファンにとって無視できない失望となった。Redditをはじめとしたコミュニティでは、「常時4Kが使えないのならXperiaを選ぶ意味がない」といった厳しい意見が相次いでいる。ハードウェアとしては4K表示能力を備えているにもかかわらず、そのポテンシャルを公式に制限し続ける姿勢に、疑問の声が一層強まっているのが現状だ。
一方で、これはソフトウェア側の制御次第で改善可能であることを示唆する出来事でもあった。仮に将来的にソニーが方針を変え、ディスプレイ設定をユーザーに委ねるような設計に転じれば、再び信頼を取り戻す契機となるかもしれない。
カスタムROMで実現する「常時最大解像度」設定と、その現実的な課題
今回話題となった「常時4K表示」を望む一部のユーザーにとって、希望の光となっているのがカスタムROM「Lineage OS」の存在だ。この非公式ファームウェアを導入することで、Sonyが制限を設けている解像度設定を解放し、ディスプレイを常に最大の解像度で駆動することが可能となる。実際にLineage OSを用いてXperia端末でこの機能を試すユーザーも存在しており、制限のない表示体験を実現しているケースも確認されている。
しかし、カスタムROM導入にはブートローダーのアンロックやOSの書き換えが必要となり、技術的なハードルが高い上に、公式サポートが一切受けられなくなるという明確なリスクがある。また、端末保証の失効や、セキュリティアップデートからの隔離といった副作用も存在するため、すべてのユーザーにとって現実的な選択肢とは言い難い。
こうした背景を踏まえると、常時4K表示を純正のソフトウェア環境で実現できることの価値は非常に大きい。今回の「誤実装」は一時的なものであったにせよ、ハードウェアの潜在能力をソフトウェアが活かしきれていないことを改めて浮き彫りにした。ソニーがこのニーズにどう向き合うかが、今後の評価を左右する鍵となるだろう。
Source:Android Authority