モルガン・スタンレーの最新調査によれば、AppleのAI機能群「Apple Intelligence」は、iPhone所有者の間で急速に重要性を増しており、米国ユーザーの80%が利用経験を持つ。利用者のネット・プロモーター・スコアは53と高く、特に使いやすさや革新性に対する評価が際立っている。

昨年9月以降、次世代iPhoneでのAI搭載を「重要」とする層は42%に達し、デバイスのアップグレード意欲と連動してさらに増加傾向にある。支払い意思も高まり、AIユーザーの支払意向額は月額平均9.11ドルと前年から11%増加。モルガン・スタンレーは、全世界で14億台が稼働するiPhone市場において、Apple Intelligenceが将来的に数十億ドル規模の収益源となる可能性を指摘している。

iPhoneユーザーのAI認識は大きく転換 モルガン・スタンレーが明かす利用実態と好意的評価

モルガン・スタンレーが4月22日に公表した調査メモによれば、Appleが展開するAI機能群「Apple Intelligence」は、すでに米国のiPhoneユーザーの80%がダウンロードし利用しているという。とりわけ注目すべきは、Apple Intelligenceのネット・プロモーター・スコアが53と、通常のテクノロジー製品の平均を大きく上回る水準に達している点である。

ユーザーからは「革新的」「操作が直感的」「日常体験が向上した」など高評価が並び、これが利用率の高さに直結していることが示唆される。一方で、Apple Intelligenceに対する投資家の評価は慎重姿勢が目立っており、依然として収益モデルの確立に対して懐疑的な見解も多い。

だが、現実にはユーザー基盤が着実に形成されつつあり、昨年9月以降、次期iPhoneで同機能のサポートを「非常に重要」または「重要」と回答するユーザーは15ポイント増の42%に達している。消費者と市場の認識のギャップは、Apple Intelligenceがいかに「体感価値」に訴えかけているかを物語る結果といえる。

支払い意欲の向上が示す転換点 Apple Intelligenceは新たな収益柱となり得るか

モルガン・スタンレーの調査によると、Apple Intelligenceを実際に使用したユーザーのうち、月額9.11ドルを支払う意向を示した者が多数を占めており、これは昨年9月の8.17ドルから11%の増加にあたる。これは単なる機能追加に対する対価ではなく、ユーザー体験の価値が金銭的評価へと変換されている動きと読み取れる。

とくにAIに慣れ親しんだ層においては、情報整理、提案、日常の意思決定支援といった機能に対して、継続的な支出を厭わない姿勢がうかがえる。Appleが同プラットフォームの有料化を急ぐ兆しは現時点で見られないが、全世界で14億台のiPhoneが稼働し、そのうち米国市場だけでも32%がApple Intelligence対応機種であるという背景を踏まえれば、将来的な収益化は現実的選択肢となり得る。

仮にサブスクリプションモデルが本格始動した場合、ユーザーの支払意思に基づく年換算収益は数百億ドルに上る可能性も指摘されている。Appleにとって本機能は単なる技術革新ではなく、ポストiPhone収益構造の中核を担う試金石となる。

Source:PYMNTS