Intelの次世代ディスクリートGPU「Celestial」シリーズに関する技術的な新情報が浮上した。開発中のArc GPUがGDDR7メモリを採用する可能性が高いことが、同社のエンジニア職の求人情報から示唆された。このGDDR7は、現行のGDDR6を凌駕する帯域幅と応答速度を提供し、ゲーム、AI処理、映像制作といった高度な用途における性能向上が期待されている。
現在、市販されているGDDR7搭載GPUはNvidiaのRTX 50シリーズに限定されており、高価格と供給難が課題となっている。そうした中、2026年に登場が見込まれるIntelの新GPUがコスト重視層に新たな選択肢を提示する可能性がある。すでにArc B580などの実績から、ミドルレンジ市場においてIntelが独自のポジションを築きつつあることも注目に値する。
IntelがGDDR7を採用すれば、Nvidiaのミドルレンジ製品と競合する性能を確保しながら、より入手しやすい価格帯を提示できる可能性があり、PCゲーミング市場の競争構造に影響を与える布石となる可能性がある。
Celestial世代GPUの登場が示すGDDR7時代の幕開け

Intelが開発を進める次期Arc「Celestial」シリーズにおいて、GDDR7メモリの搭載が示唆された。これは、同社が一時公開していたエンジニア職の求人情報に基づくもので、GDDR6およびGDDR7を対象としたプレシリコンからポストシリコンに至るまでの検証・評価業務が明記されていた。
GDDR7は、前世代のGDDR6と比較して帯域幅の拡張とエネルギー効率の向上が期待されており、従来よりも高度なゲーム描画処理やAIアプリケーションにおける性能最適化を可能にする。
2025年4月20日に投稿された情報発信者「Haze2k1」のスクリーンショットによって、この求人内容が公に知られることとなり、Intelの開発ロードマップにおける先進技術導入の方向性が明らかになった。現在、GDDR7を市場に投入しているのはNvidiaのRTX 50シリーズのみであり、Intelがこの新世代メモリに参入する意義は大きい。価格面・供給面でハードルの高いNvidia製品に対し、コスト効率に優れる代替としてIntelが選ばれる可能性が生まれる。
市場全体の流れとして、GDDR7の普及はPCグラフィックス性能の基準を一段階引き上げる転機となる。Intelがこの技術の採用を具体化させた場合、GPU市場の構造変化を促す一因となるだろう。
手頃な価格帯と1440p性能で狙う独自の市場地位
IntelのArc GPUは、従来より手頃な価格と堅実な1080p~1440p対応性能で、ニッチながら確実な需要層を獲得してきた。Tom’s GuideのJason England記者が250ドルのBattlemageカードを用いて構築したシミュレーションレースリグの例はその象徴である。高性能で高価格なNvidia製品に比して、コストパフォーマンスに優れたArcシリーズは、エントリー〜ミドルユーザー層にとって実用的な選択肢であり続けている。
こうした戦略的ポジショニングは、Nvidiaが4Kゲーミングという高級市場に特化する中、1080p/1440pに焦点を当てることで、Intelが価格志向層への供給力を強化する結果を生んでいる。さらに、今後GDDR7を搭載したCelestial世代GPUが登場すれば、既存の価格帯でもさらなる性能向上が見込まれるため、ミドルレンジ市場における競争力は一段と高まる可能性がある。
もっとも、次期Celestialシリーズの登場は2026年が予想されており、それまでの市場の変化と技術革新の動向次第では、Intelの戦略が再構築される可能性も残る。その意味で、今後の価格設定や投入タイミングは慎重な見極めが必要となる。
Source:Tom’s Guide