Googleの幹部が明らかにしたところによると、モトローラとサムスンが今後リリースするスマートフォンには、Perplexity AIを含む複数のAIアプリがプリインストールされる予定である。従来のGoogle製AIに加えて、サードパーティの高度なAIソリューションが初期状態から導入されることで、スマートフォン体験のパーソナライズ性や実用性がさらに向上すると見られる。
一方、TDバンク・グループはAI研究開発部門「Layer 6」のアメリカ拠点として、ニューヨーク市に新たなオフィスを年内に開設すると発表。生成AIを含む先端技術の実装を推進し、北米市場全体でのAI活用基盤を強化している。
消費者向けのAI搭載端末と企業によるAI拠点拡張が同時に進行するなか、AIが日常生活と業務の両領域に深く浸透しつつある現在の潮流が改めて浮き彫りになった。
モトローラの新機種にPerplexity AIを含む複数のAIアプリが搭載予定

Google幹部の発言によって明らかとなったのは、モトローラが今後リリースするスマートフォンに、Perplexity AIをはじめとする複数のAIアプリケーションがプリインストールされるという事実である。従来のGoogleアシスタントやGmailのスマート返信機能といった基本的なAIツールを超え、より高度な外部提供型のAIが標準で利用可能になる点は注目に値する。特にPerplexity AIは、検索と回答生成を融合した自然言語処理の先端技術として認知されており、端末上での情報検索や要約、質問応答体験を大幅に変える可能性がある。
こうしたAI統合の動きは、モバイル端末における「AIファースト」な設計思想を強く反映しており、スマートフォンの役割を単なるアプリ実行端末から、より自律的な情報処理装置へと進化させていく起点となる。これにより、従来はクラウド依存であった複雑な処理をローカルで完結させる方向性が強まると考えられ、通信環境に左右されずに高品質なAI体験を享受できる構図が描かれている。
TDバンクが生成AI研究機関Layer 6の米国展開を強化
TDバンク・グループは、2018年に買収したAI企業「Layer 6」の米国展開の一環として、2025年内にニューヨーク市に新オフィスを開設することを発表した。新拠点には、データサイエンティスト、応用機械学習の専門家、生成AI導入スペシャリストなど20名の人材が配置され、既存のトロント本社と連携する形でアメリカ市場への技術展開が加速される見込みである。
この動きは、生成AI分野における実装力とスピードの重要性を示しており、AIを活用した業務効率化や顧客体験の最適化を重視する金融機関の姿勢を象徴している。TDバンクのCEOであるレオ・サロム氏が語るように、「イノベーションの未来への投資」としてのLayer 6強化は、銀行業界におけるAI活用の中心拠点を築く試みに他ならない。
技術導入の面では、生成AIによる不正検出やオンボーディングの自動化など、実用性の高い活用領域がすでに動き出しており、調査では金融リーダーの72%が既にAIを業務に積極的に取り入れているとの報告もある。今後、ニューヨーク拠点が北米全体のAI導入を加速させる起点となるかどうかが注視される。
Source:PYMNTS