Palantir Technologiesは、トランプ前大統領が提唱する大規模ミサイル防衛構想「ゴールデンドーム」の中核を担う企業として、SpaceXやAndurilとともに政府提案に加わっている。追跡衛星400〜1,000基に加え、攻撃衛星最大200基の導入が検討されており、防衛技術の最前線にPalantirのソリューションが導入される見通しが強まった。
AIと国家安全保障の融合を目指すPalantirは、防衛、自律兵器、医療、政府AIコンプライアンスの各分野で戦略的提携を拡大しつつあり、米国病院向けの合弁企業「R37」設立など、収益源の多様化も進めている。一方、PLTR株は依然として将来PER164倍と高水準にあり、今後の成長期待と過熱感のバランスを慎重に見極める必要がある。
ゴールデンドーム構想の中核として注目されるPalantirの防衛協業

Palantir Technologiesは、トランプ前大統領が提唱する宇宙空間ミサイル防衛構想「ゴールデンドーム」の主要な技術提供企業として再び国家戦略の中心に浮上した。Reutersの報道によれば、SpaceXおよびAndurilと共に提案された構想には、最大1,000基の追跡衛星および最大200基の攻撃衛星の展開が含まれ、衛星ネットワークによる包括的な迎撃体制の構築が目指されている。中でもPalantirのソフトウェアは、複雑な情報処理能力を武器に衛星データのリアルタイム解析を担う役割が想定されており、従来の国家防衛システムとは一線を画する。
SpaceXが提示した「政府非所有モデル」では、ハードウェアの所有権を国が持たず、使用料支払い型のサブスクリプション方式が採用される可能性があり、この枠組みは防衛資産の統制権限や財政的透明性を巡って議論を呼んでいる。Palantirはこの中で、政府契約依存からの脱却と多角化を急ぐ中、国家安全保障分野での存在感を強めているといえる。この取り組みは、同社が次世代の戦略的プレイヤーとしての立場を固める一助となろう。
防衛と医療を貫くAI基盤 Palantirの多領域展開の現在地
Palantirは、単なる政府向けソフトウェア開発企業を超えて、防衛、医療、人工知能といった高成長セクターをまたぐ統合的なプラットフォーム企業へと変貌しつつある。最新の戦略では、EpirusやRed Catを含む6社との提携により、自律型艦艇や推進システムといった次世代防衛技術の中核に同社のAI基盤を組み込んでいる。さらに、Anthropicが開発するClaude AIとの連携では、連邦準拠の高度セキュリティ環境下での生成AI提供を支援する形で、公共領域への技術輸出の土台を固めている。
医療領域では、収益サイクル管理大手R1との合弁事業「R37」により、病院運営における非効率をPalantirのデータ分析技術で打破する構えである。これら一連の動きは、コンプライアンスと実用性を兼ね備えたソリューションが多分野で求められているという現実を反映している。領域横断的な事業展開を進めるPalantirは、各産業の深層に入り込み、単なる業務支援を超えて運営基盤そのものを変革しようとしている。
株価に織り込まれた期待とリスク PLTRの評価を見極める視点
Palantirの株価は現在、将来予想調整後PERで164倍という水準にあり、過去3年平均の99.5倍を大きく上回る。これは高成長期待の表れであると同時に、市場が織り込んでいるリスクの増大を示す数字でもある。アセットライトな事業モデルを持つ同社は、営業レバレッジの恩恵を受けやすい一方で、契約更新や防衛政策の変化といった外部要因への感応度も高い。5年間で収益が年率31.6%、フリーキャッシュフローが38.5%増加するとの予測はあるが、こうした数値が市場の期待水準に対して十分か否かは慎重に見極めるべきである。
アナリスト20名中「強い買い」とするのは3名に留まり、「ホールド」が12名、「強い売り」も4名存在しており、評価は二極化している。平均目標株価は84ドルで、現時点の株価を下回っていることからも、過剰な期待が価格に先行して織り込まれている可能性が否定できない。成長シナリオが実現するには、単なる受注拡大ではなく、持続的な契約更新と市場に対する信頼の確保が不可欠となる。
Source: Barchart.com