米司法省との反トラスト裁判の中で、GoogleがSamsungに対して「Gemini AI」アプリをGalaxyスマートフォンにプリインストールさせるため、毎月多額の支払いを行っていたことが明らかとなった。支払いは2025年1月のGalaxy S24シリーズから始まり、契約は2028年まで延長される可能性がある。報告によれば、SamsungはGeminiの広告収益の一部も受け取っており、GoogleはAI分野でも影響力を強めつつある。
GoogleとSamsungのAI契約 明かされた金額と契約内容の詳細

米司法省との裁判を通じて明らかとなったのは、GoogleがGalaxyスマートフォンにGemini AIアプリをプリインストールする見返りとして、Samsungに毎月多額の金銭を支払っているという事実である。この取り決めは2025年1月のGalaxy S24シリーズからすでに始動しており、契約は2028年まで延長される可能性があるとされる。さらにこの契約には、Geminiから得られる広告収益の一部をSamsungが受け取るという条項も含まれている。
David Dahlquist氏によると、GoogleがSamsungに支払う額は「莫大な金額」とされ、具体的な金額は非公開ながらも、過去にGoogleがAppleに支払った数十億ドル規模と同等の可能性が示唆されている。Epic Gamesの訴訟記録では、Googleはすでに2020年から2023年にかけて、Google検索やPlayストアのプリインストールを条件にSamsungに約80億ドルを支払っていたとされており、今回の契約はその延長線上にあると見られる。
この契約により、SamsungはAI機能を前面に打ち出すスマートフォンを提供できる一方で、Googleは自社のAI技術を大規模に展開するための端末環境を確保した形となる。しかしこのような取り決めが、検索エンジンやAIの市場における競争を著しく制限しているとする見方も強まっている。
市場支配と司法判断 Googleに求められる変化
GoogleがSamsungやAppleなどの大手スマートフォンメーカーに多額の支払いを行い、自社サービスをデフォルト設定にする戦略は、過去にも司法の場で問題視されてきた。今回のGemini AIをめぐる契約も例外ではなく、米司法省はこうした取り組みがAI分野にも影響を広げていると警鐘を鳴らしている。検索エンジン市場における支配と同様に、AI分野においてもGoogleが主導権を強化しようとしている構図が浮かび上がる。
司法省はすでに、Googleによる支払いが市場における健全な競争を妨げているとし、過去の同様の取り決めを違法と判断している。今後の裁判の展開によっては、GoogleがSamsungとの契約内容を見直すことを迫られる可能性もある。また、最悪の場合にはChromeブラウザの売却や、他サービスの分割も視野に入るとの見方がある。
こうした背景から考えると、Gemini AIの搭載がもたらすのは単なる技術的進歩ではなく、業界全体のバランスを左右しかねない大きな力の変化である。Googleがこれまで築いてきた「デフォルト設定」による市場支配は、今後さらに厳しい監視対象となっていくと見られる。ユーザーにとっての利便性と市場の健全性が、今まさに天秤にかけられている。
Source:Gizmochina