3Mは2025年第1四半期において、減収ながらも調整後1株利益(EPS)が前年同期比10%増の1.88ドルとなり、堅調なフリーキャッシュフローと共に好業績を示した。通年EPS見通しは7.60~7.90ドルの範囲で据え置かれ、トランプ政権期に導入された関税による影響も最大で5.2%と限定的にとどまる見通しである。

22日時点でMMM株は7.4%上昇し135.38ドルで推移しているが、依然として直近高値には達しておらず、予想EPSに対するPERは17.78倍と割高感は乏しい。アナリストは12か月後の目標株価を平均150.15ドルと見積もり、今後の上昇余地は10%超とされる。短期満期のプットオプションを活用した戦略により、投資家は効率的な取得価格の設定や追加収益の創出も図れる可能性がある。

四半期決算が示す3Mの利益回復と通年安定性

3Mは2025年第1四半期において、売上高が前年同期比で1.0%減少したものの、調整後1株利益(EPS)は10%増の1.88ドルとなり、利益面での回復が鮮明となった。フリーキャッシュフローも堅調で、同社は通年のEPS見通しを前四半期と同じく7.60~7.90ドルの範囲で維持している。これは、不安定な市場環境下においても収益性の持続が可能であることを示しており、経営の保守的かつ着実な姿勢がうかがえる内容である。

さらに、トランプ政権下で導入された関税の影響については、1株当たり0.20~0.40ドルの減益要因として明示され、これは通年EPSに対して最大でも5.2%にとどまる見通しである。すでにこの要因は業績予想に織り込まれており、市場へのインパクトは一過性に留まる可能性が高い。従って、今回のガイダンス発表は、短期的なコスト圧力よりも、3Mが引き続き高い収益性を維持できる体質にあることを裏づけるものと考えられる。

株価評価と目標水準の比較に見る割安性の根拠

4月22日時点でMMM株は7.4%上昇し135.38ドルを付けたが、3月の高値153.50ドルには依然届いていない。この株価水準は、関税調整後の予想EPS(7.615ドル)を基にしたPER17.78倍に相当する。これは過去5年平均の15.65倍をやや上回るものの、業績安定性や将来予想を踏まえると、極端な割高感は認められない水準である。

また、アナリスト19人による平均目標株価は149.30ドル(Yahoo! Finance)、Barchartでは151.00ドルとされ、両者の平均である150.15ドルは現在の株価から10.9%の上昇余地を示す。今後1年間での増益見込みも強く、NTM EPSは7.915ドルとされており、2024年比で8.42%の伸長が予想されている。この成長率を考慮すれば、現在の価格帯は投資妙味のある水準と評価できる。

OTMプットオプション戦略に見るリスク管理と収益獲得の両立

現在の株価環境下では、132.00ドルの行使価格で5月満期のアウト・オブ・ザ・マネー(OTM)プットオプションを売却する戦略が注目に値する。このプットは、ミッドポイントで4.15ドルのプレミアムが見込まれており、証拠金13,200ドルに対して約3.14%の即時利回りを実現する。仮に行使されても、実際の取得価格は127.85ドルとなり、現在価格から約5.9%下での購入が可能となる。

デルタ38.8%という確率論的裏付けのもと、132.00ドルへの下落確率は過去のボラティリティ分析から40%未満とされ、限定的なリスクの中で収益機会が成立する。既存投資家にとっては、配当利回り(約2.03%)を上回る追加収入の手段となり、新規投資家にとっては慎重な買い下がりの一手と位置づけられる。市場の不確実性を前提にした合理的な資金運用として注目されるべき手法である。

Source: Barchart.com