S&P 500 ETF(IVV)およびNASDAQ 100 ETF(QQQ)がともに「強い売り」評価を受け、市場参加者に衝撃を与えている。Barchartの「Trend Seeker」は両ETFに対して明確な「売り」シグナルを発し、テクニカルオピニオンでも88%が売却を推奨。IVVは過去52週高値から16.42%下落、QQQは20.16%下落と、歴然たる下落幅が示されている。
テクニカルスクリーニングでは、通常多数の買い候補銘柄が抽出されるが、今回はわずか5銘柄にとどまり、いずれもすでに過去に紹介済みという異常事態に直面。今は買いのタイミングではないという市場の静寂が浮き彫りとなった。
この状況においては、現金ポジションの維持やストップロスの徹底など、守りの姿勢が最も合理的な選択となり得る。チャートが回復の兆しを見せるまでは、短期的な値動きに一喜一憂せず、相場との距離を意識する冷静な判断が求められる。
市場の静寂を示すスクリーニング異変とETF売り評価の一致

S&P 500 ETF(IVV)およびNASDAQ 100 ETF(QQQ)は、Barchartの「Trend Seeker」指標によりいずれも「売り」シグナルが点灯し、テクニカルオピニオンでは88%が「強い売り」と判定された。IVVは52週高値から16.42%下落、QQQに至っては20.16%の下落幅を記録している。これらのデータは、両指数に連動するETFがテクニカル面で明確に下降トレンドに入っていることを示唆している。
一方で、Barchartが日々実施している銘柄スクリーニングでは、通常は勢いのある買い候補が多数抽出されるが、今回はわずか5銘柄にとどまり、それらもすでに過去に紹介済みである。このように買いのシグナルが著しく減少している状況は極めて稀であり、相場全体における買いの機運の乏しさが鮮明となっている。
こうした現象は、単なる一時的な調整局面というよりも、テクニカル面から見た相場の地合いの変質を示す兆候であると考えられる。売買判断においては、チャートやシグナルのみに依存することなく、定量的データと相場心理の乖離を冷静に捉える必要がある。
買いの不在が意味する投資判断と現金保持戦略の正当性
現在のテクニカル指標は、短期的な買いポジションの形成を支持する根拠を欠いており、「キャッシュはポジション」との判断がより一層重要性を増している。Barchartによると、著者Jim Van Meerten自身もIVVとQQQを保有しつつ、チャートの動向に従い、動的なストップロス運用を推奨している。
このような保守的な運用姿勢は、特に高ボラティリティ下において重要性を帯びる。過去1ヶ月間で紹介可能な買い銘柄が尽きたという事実は、上昇余地の乏しさだけでなく、成長株や割安株の相対的魅力すら見い出せない市場環境を表している。個別銘柄における値動きの精査は継続するにせよ、買いの根拠が乏しい中での無理なエントリーはリスクの増大を招く。
このような局面では、保有銘柄の評価見直しとポートフォリオ全体のリバランス、ならびにキャッシュポジション維持の正当性が再認識される。むしろ何も「買わない」ことが、最も合理的な選択であり得るという逆説的な状況が広がっている。
Source: Barchart