MicrosoftはWindows 10向けの最新セキュリティパッチ「KB5055518」により、スタートメニュー上のジャンプリスト機能を破損させた。ジャンプリストは最近使用したファイルへの迅速なアクセスを提供する機能で、多くのユーザーに支持されてきた。
しかし更新後、このリストがスタートメニューから消失し、Redditや公式フォーラムでは不具合報告が相次いでいる。タスクバー上では依然正常に機能するものの、Microsoftは本件を更新履歴に記載しておらず、意図的な仕様変更の可能性も否定できない。Windows 11への移行を促すための布石と見られる今回の変更は、今後のユーザー行動にも影響を及ぼすことになりそうだ。
スタートメニューに限定された機能障害の実態とユーザーの反応

Windows 10向けのセキュリティ更新プログラム「KB5055518」が、一部ユーザーにおいてスタートメニュー内のジャンプリスト機能を無効化させる問題を引き起こしている。ジャンプリストとは、スタートメニューやタスクバーからアプリを右クリックした際に表示される履歴やタスクの一覧であり、ユーザーが頻繁に利用するショートカット機能のひとつである。
RedditやMicrosoft公式フォーラムでは、「最近使用した項目」が突然消失したとの報告が多数寄せられ、パッチ適用前には正常動作していたとの証言も多い。設定上のトグルが有効状態であるにもかかわらず発生している点も、問題の技術的根深さを示している。
興味深いのは、この不具合がスタートメニューに限定されており、同一のジャンプリスト機能がタスクバー上では引き続き正常に作動している点である。
この限定的な障害の発生は、単なるバグとして片付けるには不自然な構造的選別性を帯びており、一部のユーザーからはMicrosoftの意図的な機能制限を疑う声も上がっている。しかし、Microsoftは現時点で更新履歴にこの不具合を明示しておらず、修正の見通しも示されていない。ユーザー利便性を損なう改変が透明性を欠いたまま進行していることに対し、懸念が広がっている。
アップグレード促進と見られる意図的仕様変更の可能性
Windows 10の機能障害がスタートメニューに集中し、同様の機能がWindows 11にて健在である状況から、今回の変更が単なる不具合ではなく、Windows 11への移行を促進するための布石である可能性が取り沙汰されている。
特に注目すべきは、2024年に行われた時計機能の一時削除と再導入の流れに類似している点であり、過去の先例と照らし合わせると、今回のジャンプリストの喪失も同様の施策の一環として捉える余地がある。
Microsoftはかねてより、Windows 10のサポート終了に向けた段階的誘導を進めてきたが、利便性の高い機能を意図的に縮小することで、ユーザーに不満を蓄積させ、自発的な移行を促すという手法は、企業の製品ライフサイクル戦略としても一定の説得力を持つ。
実際にジャンプリストは業務利用でも頻繁に活用されている機能であり、その喪失が作業効率に直結する点を考慮すると、影響範囲は小さくない。ただし、こうした変更が企業ユーザーの信頼低下を招くリスクも内包しており、Microsoftが今後どのような対応を取るかが注視される。
Source:XDA