YouTubeチャンネルUnbox Therapyが公開したiPhone 17 Airのダミーモデルは、わずか5.65mmの薄さで注目を集めた。Appleはこの端末を超薄型スマートフォンとして展開する可能性があるが、2014年に起きたiPhone 6の「bendgate」問題を想起させるとして懸念の声が広がっている。
AppleはiPad Pro M4の実績を根拠に耐久性への自信を示しているが、スマートフォンという使用状況の異なるデバイスにおいて同様の信頼性が確保されているかは不透明である。さらに、カメラバンプの突出や価格の上昇といった要素もあり、単なる薄さが差別化要因となり得るかは疑問視されている。
Appleは「薄さ」に再び挑むが、「bendgate」の記憶は払拭されていない

iPhone 17 AirのモックアップがUnbox Therapyにより公開され、その薄さはわずか5.65mmと報じられた。これは2014年に問題となったiPhone 6の「bendgate」を想起させるものであり、当時のアルミシャーシが使用中に変形した騒動が今なお記憶に残る。
今回のモックアップは、リークされた設計図やケースと一致しており、実際の製品もこの形状に近い可能性がある。Appleは技術的進化により、シャーシの強度向上を果たしたと主張しているものの、実際の耐久性に関しては詳細な検証がなされていない。
iPad Pro M4の事例では、同等以上の薄さで曲げ強度の問題を克服したとされているが、iPadとスマートフォンでは使用環境が大きく異なる。特に、スマートフォンは日常的にポケットに入れて持ち運ばれるため、応力のかかり方が異なり、薄型設計が物理的リスクを伴う可能性が否めない。Appleが技術的進化に自信を持つ一方で、消費者は「再発」の可能性に神経を尖らせている。
薄さだけがセールスポイントでは価格に見合わぬ疑念も残る
iPhone 17 Airは外観上、視覚的に魅力的なデバイスであることは間違いない。だが、現時点で明らかになっているのは「極端な薄さ」と「洗練されたデザイン」のみであり、性能や機能面で他のiPhone 17シリーズとの差別化要素は乏しい。
特に、モックアップで確認された大きなカメラバンプは端末の一体感を損ね、背面のフラットな印象を削いでいる。薄さを強調する構造でありながら、突出したパーツがデザインと実用性の両面で疑問を生む結果となっている。
加えて、端末の価格は数千ドル規模に達する可能性があり、通商政策や関税の影響による価格上昇も懸念される。ユーザーの多くは高価格のスマートフォンにケースを装着する傾向があり、せっかくの薄型筐体がその価値を視覚的にも実感できない状況に陥る可能性もある。
耐久性、性能、価格のバランスが欠ける中で、「薄さ」に依存した端末戦略が購買意欲にどのような影響を与えるかは慎重に見極める必要がある。
熱処理とバッテリー容量の限界がもたらす機能面での懸念
極薄のシャーシは設計美に優れる一方で、内部構造には深刻な制約を及ぼす。まず問題となるのは熱管理である。iPhoneは密閉構造であり、熱の逃げ場が限られているため、極端な薄型化は放熱効率を著しく低下させる恐れがある。
バッテリーも同様にスペースの制約を受け、小型化は稼働時間の短縮やパフォーマンスの制限につながりかねない。これらはすでに超薄型ノートPCやタブレットでも顕在化している課題であり、スマートフォンにおいてはさらに顕著に表れる可能性がある。
Appleが冷却効率や電力設計において革新を遂げていたとしても、それが端末全体の実用性を支えるには十分ではない可能性もある。特にiPhone 17 Airは、現時点で他のモデルと比較して機能面での優位性が確認されていないため、バランスの欠如が使用体験に直結する危険を孕んでいる。美しさと引き換えに失うものがあるならば、それはスマートフォン本来の価値を揺るがしかねない。
Source:Laptop Mag