AppleのVision Proが誇る3,386ppiの高精細表示に対抗し、Play For DreamおよびMeganeが3,882ppiのマイクロOLED搭載MRヘッドセットを発表した。特に注目されるのは、この次世代ディスプレイがGoogle・Samsung・Qualcommの共同開発による「Project Moohan」でも採用される可能性が高い点にある。

Project MoohanはAndroid陣営初の本格XRフラッグシップとして2024年後半に開発者版を皮切りに展開が予定され、価格もAppleと同水準に設定される見通しだ。既存のMeta Quest 3やPico 4 Ultraを凌駕する性能が期待され、Apple独走状態に変化をもたらす契機となるか注目される。

解像度で先行するPlay For DreamとMegane 新興勢力が見せた技術の躍進

Play For DreamとMeganeが発表したMRヘッドセットは、3840×2552ピクセルで3,882ppiという極めて高密度なマイクロOLEDディスプレイを採用している。これはAppleのVision Proが持つ3,386ppiを上回る数値であり、視覚表現の繊細さという一点において、現時点での最高水準を示した。

両社の名は業界ではまだ浸透していないが、技術力の裏付けとしてその存在感を急速に強めている。特に注目すべきは、このマイクロOLEDがSamsungの次期XRデバイス「Project Moohan」にも搭載される可能性が報じられている点である。

この動きは、これまでApple一強とも見られていた高精細ディスプレイ領域に、新たな競争軸を持ち込む結果となる。加えて、Play For DreamとMeganeX Superlight 8Kの価格がそれぞれ2,000ドル前後と報道されており、Vision Proの3,499ドルと比較しても差別化の余地がある。

これらのヘッドセットは、即時の市場支配力こそ見込まれないが、技術進化の象徴として業界内でのポジション確立を進めている。既存ブランドの支配力を脅かすには、単なるスペック競争だけでなく、製品としての総合完成度と供給体制が問われる局面に入ったといえる。

Project Moohanの戦略的布陣 GoogleとSamsungが示す新たなXR競争構造

Project Moohanは、Google、Samsung、Qualcommという巨大テクノロジー企業の連携によって推進されるXRフラッグシップ構想である。このプロジェクトが指向するのは、単なる高精細映像体験の提供ではなく、Android陣営における真のMR中核デバイスの確立である。

マイクロOLEDによる3,882ppiの採用はその一環に過ぎず、Vision Proに対抗するには、アプリケーションの連携性、エコシステムの充実、そしてグローバルな開発者基盤の取り込みが鍵を握ると考えられる。一方、同プロジェクトの開発者版は2024年後半のリリースが想定されており、最初の投入段階から一般市場に向けた即時展開は計画されていない。

この段階的な展開方針は、品質管理とプラットフォーム成熟度の確保を優先するものと受け取れる。また、価格設定もVision Proと同水準またはそれ以上となる可能性があり、一般消費者向けというよりは専門用途またはプロフェッショナル領域を重視する設計思想がうかがえる。

Appleが数量縮小を進める中で、Project Moohanが先に市場の信頼を勝ち取れるかは、技術だけでなく戦略面の調和にかかっている。

Source:T3