再生可能エネルギーの巨頭であるNextEra Energyは、金利上昇による資金調達コストの悪化で株価が30%下落したが、依然として長期保有に値する銘柄とされる。同社はフロリダ州で1,200万人以上に電力を供給する安定した規制事業に加え、世界最大級の風力・太陽光発電事業を展開しており、収益構造はきわめて堅固である。

今後4年間で1,200億ドル規模のインフラ投資を予定し、年率6〜8%の利益成長と年率10%の増配を掲げており、高配当と成長性の両立が評価されている。

配当利回りと成長戦略の共存が際立つNextEra Energyの実力

NextEra Energyは30年にわたり増配を継続し、現在の配当利回りは3.4%に達している。加えて、2026年までは年率10%の増配を見込んでおり、これにより株主は安定的なインカムと複利効果を享受できる構造となっている。2025年の予想配当性向は62%と健全な水準にあり、財務の余裕も配当継続を裏付ける。これらの要素は、高配当株でありながら成長性を備える稀有な存在としてのNextEraの評価を高めている。

一方で、同社は今後4年間で1,200億ドルをエネルギーインフラに投資する意向を示しており、EPS(1株当たり利益)の年平均成長率を6~8%とするガイダンスを掲げている。この投資方針が示すのは、単なる配当株にとどまらず、事業拡張と利益成長を両立させるという強い意思である。過去の配当実績と成長への布石が同時に評価され、NextEraは資産形成における中核銘柄の一つとなり得る。

規制下における電力事業の安定性と再生可能エネルギーの成長性

NextEra Energyの収益の約7割は規制事業に基づくものであり、価格が政府によって設定される仕組みによって競争の激化を回避しつつ、一定の利益を確保している。特にFlorida Power & Lightはフロリダ州で1,200万人以上に電力を供給するインフラの要であり、地域経済と人口の成長が収益の下支えとなっている。こうした構造は、景気後退下でも事業が持続的に機能する強靭さを示している。

加えて、NextEra Energy Resourcesが主導する再生可能エネルギー部門は、風力・太陽光で世界最大級の発電能力を有し、成長が継続している。IHS Outlookおよびマッキンゼーの予測によれば、米国の電力需要は2040年までに2020年比で55%増加するとされており、AIやデータセンター需要の増大もその後押しとなる。これにより、同社は既存事業の安定性と再エネ分野の成長性を両輪として持ち、長期的な競争優位を築いている。

割安感と将来性の両面から評価される投資妙味

NextEra Energyの現在の株価収益率(PER)は18倍と、2023年初来の水準としては低位にある。この数値は市場全体の平均と比較しても割高感を示すものではなく、むしろ成長企業としては適正範囲、あるいは割安と見る向きもある。高い配当利回りと利益成長が組み合わさっており、長期投資の視点からはトータルリターンの向上が期待される局面にある。

ただし、株価下落の主因である金利上昇は、資金調達コストを上昇させる要因であり、短期的には企業のキャッシュフローに対する圧力となる。だが、これは本質的なビジネスモデルの弱体化を意味するものではなく、むしろ長期投資家にとっては買い場を提供しているとも解釈される。質の高いインフラ資産を持つ企業への投資は、短期的な波に左右されず、堅実な資産運用の一手となり得る。

Source:The Motley Fool