AI革命が進行する中で、NvidiaはGPU市場の圧倒的シェアとCUDAによる囲い込み戦略により、依然として中核的地位を保持している。AI処理の必需品であるGPU供給において同社は80~95%の市場を掌握し、成長余地を残す価格評価も魅力である。

また、AmazonのAWSとMicrosoftのAzureは、クラウドコンピューティングを通じてAI基盤の主導権を握っている。クラウドを活用するAI企業の増加が、両社の安定成長と低バリュエーションに支えられた再評価を後押しする可能性がある。

本格化するAI投資ブームの中で、単なる成長株を超えてインフラ提供者としての存在感を増すこれら企業群の動向が、2025年後半の株式市場に新たな局面をもたらすだろう。

Nvidiaが支配するAIハードウェア市場の現実と未来

Nvidiaは現在、AIモデルの訓練と実行に不可欠なGPU市場において、80~95%の圧倒的シェアを保持している。同社の製品はChatGPTのような生成AIツールにおける演算処理の中心を担っており、実質的にAIインフラの中枢を形成している。注目すべきは、その成功の鍵が単なるハードウェア性能にとどまらず、CUDAと呼ばれる独自プラットフォームにある点だ。CUDAにより、開発者はNvidia製GPU上で最適化されたソフトウェア構築が可能となり、他社製品への切り替えコストが飛躍的に高まっている。

この「ロックイン効果」が顧客の囲い込みと長期的な需要維持に寄与しており、過去の半導体産業の競争を鑑みても、一朝一夕では崩れない競争優位性を形成している。一方で、株価は売上高の18.4倍と一見高水準に見えるが、これは過去5年の平均を下回る水準であり、割高感は相対的に薄れている。短期の調整局面を経てなお、長期的な成長性が強く示唆されているNvidiaは、AI時代におけるインフラ投資の代表格と見なされている。

クラウドがAI基盤を支える AWSとAzureの戦略的存在感

AI企業の躍進の裏には、AmazonのAWSとMicrosoftのAzureという巨大クラウドプラットフォームの存在がある。これらはAIサービスの運用・展開に必要なスケーラブルな演算基盤を提供し、企業が自前で膨大な設備を構築せずともAI技術を導入できる環境を整えている。両社はそれぞれクラウド市場において30%、24%のシェアを持ち、インフラ提供者としての地位を強固なものとしている。

また、NvidiaのGPUを大量購入しているのは、AI企業そのものではなく、このAWSやAzureである点が示唆的である。AI革命を支える直接のプレーヤーがNvidiaであるならば、その土台を担っているのはクラウドインフラ勢である。クラウドの普及により、AI技術の民主化が進む一方、それを支配するインフラ企業の影響力はより不可欠となっていく。多角化企業である両社は、AI関連の事業領域において今後さらに評価の再構築が進む可能性がある。市場はこの動きを織り込み始めており、評価の変化が株価にも波及する余地がある。

AIバリューチェーンにおける評価の二極化と投資機会

AI関連株においては、短期的な期待先行の評価と、長期的なインフラ価値に基づく評価との間に明確な二極化が見られる。Nvidiaは高度な演算能力という機能性で直接的な需要を享受する一方、AmazonやMicrosoftは間接的ながらその土台を築く存在として位置付けられている。この構造は、AIバリューチェーンにおける役割の違いを反映しており、投資家にとっては視野を広げた分析が求められる。

短期的なボラティリティに翻弄されることなく、成長の本質に基づいたポジションを取る視点が重要となる。たとえば、クラウド事業の安定収益基盤とAI需要の上昇トレンドを両立できるAWSやAzureは、今後AI分野における再評価を受ける可能性がある。また、これら企業の現在の株価は、Nvidiaに比して相対的に低評価であることが多く、リスクとリターンのバランスにおいて有利に働くことが考えられる。中長期の投資戦略において、表層的な成長性だけでなく、構造的優位を持つ企業の存在にも目を向ける必要がある。

Source:The Motley Fool