2025年、AIを軸とする産業構造の変革が進む中で、NvidiaとMeta Platformsの株価が急落し、いずれも52週高値から30%超の下落を記録した。S&P 500やナスダック100の下落に連動した形ではあるが、両社はそれぞれの分野で構造的優位性を保っている。

Nvidiaは高性能GPUと独自ソフトウェアによる経済的堀を維持しつつ、中国市場での損失を吸収しながら他地域での成長を継続している。Metaは40億人規模のユーザーベースと、Llama 4をはじめとするマルチモーダルAIを武器に、生成AIの収益化において独自の地位を確立しつつある。米中貿易摩擦や規制リスクは依然として存在するが、それらはすでに株価に織り込まれており、長期投資における好機が広がっている。

Nvidia、34%下落の裏で進むAI市場支配と収益構造の多角化

2025年初頭、米中間の緊張と輸出規制により、NvidiaはH20チップ関連で55億ドルの減損処理を行い、株価は52週高値から34%の急落を記録した。PERは21.8倍と大幅に割安となったが、同社の強みは単なるGPU供給にとどまらない。CUDAソフトウェアを中心とした独自プラットフォームを有し、AI開発者の囲い込みを実現している。

これにより、高いスイッチングコストが生じ、同社の市場支配力は競合他社では容易に崩せない構造となっている。中国市場の収益低下を受けても、北米・欧州・中東でのAI需要が堅調に拡大しており、ハードウェアに加えてネットワーク製品やソフトウェア、サービス領域でも商機を拡大している。AI革命の初期段階にある今、Nvidiaはその経済的堀と技術的優位性により、指数関数的な成長市場の中核を担う位置づけにあるといえる。現行の株価水準は、構造的な収益基盤と成長可能性を適切に反映していないとの見方も根強い。

Meta、Llama 4を起点とするAIマネタイズ戦略と広告基盤の再評価

Meta Platformsは、52週高値から33%下落し、来期予想利益の19倍という評価にまで下落している。だが、同社は依然として月間約40億人のアクティブユーザーを有し、FacebookやInstagram、WhatsAppを通じてデジタル広告市場で圧倒的なリーチを持ち続けている。注目すべきは、同社が開発したマルチモーダルAI「Llama 4」であり、テキスト・画像・動画の全領域に対応する次世代モデルとして位置づけられている。

AI競争が開発段階から収益化フェーズへと移行する中で、Metaは最大級の配信インフラを有しており、Llama 4の展開によって広告収益の効率性がさらに高まることが期待されている。一方で、Reality Labsの巨額投資や独占禁止法訴訟といったリスクは依然残るが、現在の株価にはこれらのマイナス要因がある程度織り込まれているとされる。生成AIと広告ビジネスの交差点において、Metaは新たな価値創出の可能性を保持している状況である。

株価下落の中に潜む機会と、AI分野での中長期的勝者の選別視点

S&P 500が年初来で11%以上下落し、ナスダック100が16%超の急落を記録する中、投資家のリスク回避姿勢がテクノロジー株にも波及している。だが、NvidiaとMetaに共通するのは、一時的なマクロ要因に左右されつつも、AI領域における中長期の需要拡大に直結する技術資産と事業基盤を保持している点である。

市場の混乱が続く中で、短期的な価格変動に惑わされるのではなく、構造的に競争優位を持つ企業を選別することが不可欠となる。とりわけ、AIのインフラを支えるNvidiaと、その恩恵を消費者領域で活用するMetaは、産業の川上と川下を担う両軸として注目に値する。足元の割安感に焦点を当てるよりも、数年単位での収益再評価と技術進化を見据えたポートフォリオ構築が求められる局面にある。

Source:The Motley Fool