NvidiaやAMDなど主要半導体企業の株価が水曜日に5~7%上昇し、PHLX半導体指数も5.5%上昇した。背景には、トランプ大統領が中国に対する関税について「大幅に引き下げられる可能性がある」と発言したことがある。

これにより米中貿易摩擦の緩和期待が高まり、ハイテク株が広く買われた。半導体は現時点で追加関税の対象外だが、アナリストは再度の対象化のリスクにも言及している。市場はこの発言を好感しつつも、政策実現性に慎重な視線を向けている。

トランプ発言が誘発した半導体株急騰の実態

4月23日、トランプ大統領が「中国に対して非常に優しくするつもり」と発言し、関税の大幅な引き下げに言及したことを受け、半導体関連銘柄が一斉に買われた。Nvidiaは5%超、Broadcomは6%、AMDとIntelはともに7%の急騰を記録し、市場に鮮明な反応を示した。これを背景に、PHLX半導体指数も約5.5%の上昇を遂げ、ハイテク株主導の上昇局面が再燃した格好である。

こうした株価の動きは、短期的なセンチメントの変化に依拠する部分が大きく、実際の政策決定やその実行可能性とは必ずしも連動していない点に留意が必要だ。トランプ氏の発言は具体的な政策案や時期を伴わず、あくまで政治的なメッセージとして受け止めるべきである。一方で、半導体セクターが貿易摩擦の象徴的存在であることに変わりはなく、市場の期待が先行している可能性は否定できない。

報復関税除外の半導体業界が抱える中長期的リスク

現在、半導体は米中間の報復関税の対象から外れているが、過去にはその対象とされる構想も公にされた経緯がある。アナリストらは、政策環境が再び敵対的になれば、再び関税リストに載るリスクは現実的であると警告している。特に、米国の選挙シーズンに入れば、対中強硬姿勢が政治的アピールとして利用されやすく、半導体産業がその標的になる可能性は否定できない。

企業としても、サプライチェーンの柔軟性や製造拠点の分散化など、地政学リスクに対する備えが急務である。トランプ氏の一時的な軟化姿勢に市場が過敏に反応したことは、いかにこのセクターが政策リスクに影響されやすいかを示している。従って、短期の株価反発に浮かれるのではなく、構造的なリスクを織り込んだ上での戦略が求められる。

雇用削減を伴うIntelの急騰が示す投資家心理

Intelが7%の上昇を記録した背景には、同社が従業員の2割超の削減を検討しているとの報道も影響しているとみられる。生産性向上や固定費削減を意識した人員構成の見直しは、短期的には収益改善につながるとの期待を呼びやすく、株価には好材料として働きやすい構図がある。しかしながら、大規模な人員削減が中長期的に技術革新や研究開発力の低下を招く懸念も無視できない。

投資家はコスト面での即効性を評価する傾向があるが、半導体産業においては人的資本の蓄積が競争力の根幹を成しており、短期利益の追求が長期的な価値創出を阻害するリスクもある。今回のIntelの動きは、企業経営と市場評価のすれ違いを浮き彫りにしていると言える。市場が人員削減を一律に好感する風潮には慎重な視点が求められる。

Source:Investopedia