Samsungの新型タブレット「Galaxy Tab S10 FE」は、IP68準拠の堅牢設計とSペン標準付属、6年保証のソフトウェアサポートなど注目点が多い。一方で、2023年モデルからの進化は小さく、価格上昇も相まって魅力が薄れている。
特に、Snapdragon 8 Gen 3を搭載するOnePlus Pad 2などと比べた場合、性能面では後れを取り、ステレオスピーカーや画面仕様でも見劣りがある。カメラ性能も最小限で、実用面に特化した構成となっている。
バッテリー駆動時間やDeX対応などで堅実な使い勝手は維持しているが、タブレット市場の競争が激化する中で、価格とスペックのバランスに課題が浮き彫りとなっている。
SペンとDeXが支える多用途性と基本性能の確保

Galaxy Tab S10 FEは、IP68対応の防水防塵設計と、Sペンが標準で付属する点で、堅実なタブレット運用を求める層に適している。Sペンは背面にマグネットで装着可能で、ペン入力機能も「Air Command」や「Samsung Notes」によって充実しており、簡易的なスケッチやメモ用途には十分応える。さらに、Samsung DeXによるデスクトップ風UIの搭載もあり、軽い作業用途にはノートPCライクな操作感が得られる。
画面は10.9インチのIPS液晶で、90Hzのリフレッシュレートを備える。高リフレッシュレートを持つ他社製品には及ばないが、スクロール操作や動画視聴では一定の滑らかさを確保している。加えて、13時間超のバッテリー駆動時間(PCMarkテスト)と、8000mAhの容量も日常的な使用では安心感につながる。
ただし、スピーカー性能や画質、OSのUI設計などには粗が見られ、洗練度では競合と差が開いている。多機能であることは確かだが、細部の使い勝手や質感に過度な期待は持たない方が賢明である。
OnePlus Pad 2との比較が浮き彫りにする性能差と価格のズレ
Galaxy Tab S10 FEは、価格が$499.99からと設定されているが、同価格帯に位置するOnePlus Pad 2が搭載するSnapdragon 8 Gen 3と比較すると、Exynos 1580の処理能力は明確に劣る。これは実際のアプリ起動やマルチタスク処理において、速度差となって現れる可能性がある。特にゲームや高負荷な用途を求める場合には、違いが顕著になる。
また、OnePlus Pad 2はより高解像度かつ高リフレッシュレートのディスプレイを搭載しており、視覚体験においても差がついている。ステレオスピーカーにおいても、Galaxy Tab S10 FEは出力や音質の面でやや見劣りし、動画視聴やエンタメ用途では満足度が低下する恐れがある。
それにもかかわらず、Tab S10 FEは前モデル比で$50の値上げが実施されており、進化の乏しさと価格の上昇という不均衡が生じている。高性能を期待するユーザーにとっては、この価格設定が購買意欲を削ぐ要因になる可能性は否定できない。
Source:TechAdvisor