サムスンがDDR4メモリの生産を2025年末までに段階的に終了する見通しであることが報じられた。6月までに新規受注を停止し、8GBおよび16GBモジュールの出荷は年内で完了する予定とされる。背景には、DDR5やLPDDR5、AI用途で需要が急増するHBMなど、より高付加価値な製品群への生産リソースの移行がある。

近年、DDR4の価格が下落を続ける中で、中国メーカーとの価格競争が激化しており、サムスン製品より最大50%安い価格帯のチップが流通している。こうした市場環境下で、旧世代技術にとどまる合理性は低下していたと考えられる。

製造能力を最新技術に集中させる今回の動きは、今後の製品競争力を維持するために不可避な選択だったともいえる。

DDR4生産終了のスケジュールと対象製品の詳細

サムスンは2025年末をもってDDR4メモリの生産を終了する方針を固めており、そのスケジュールが段階的に進行している。まず2025年6月までにDDR4メモリチップの新規受注を停止し、8GBおよび16GBのノートPCおよびデスクトップ向けモジュールに関しては、同年12月をもって最終出荷が完了する見込みとされている。この移行により、旧来のメモリ製品の取り扱いは市場から徐々に姿を消していくことになる。

DDR4メモリは長年にわたって広く普及してきたが、現在ではDDR5やLPDDR5などの次世代規格への移行が急速に進んでおり、特にコンシューマー向けPCやサーバー、モバイルデバイスでの採用が加速している。サムスンの発表により、DDR4の終息が現実味を帯びる中、今後は新しい製品設計への対応が求められることになるだろう。

こうしたスケジュールの公開は、サプライチェーンの調整やBTO製品の計画立案において重要な指針となる。後継規格に移行するまでの猶予期間を設けることで、顧客側の混乱を最小限に抑える配慮が読み取れる。

価格競争と技術転換が後押ししたDDR4撤退の背景

DDR4生産終了の背後には、市場における激しい価格競争と、より高利益を見込める新技術への転換という二重の圧力があった。特に2023年9月以降、DDR4 DRAMの価格が下落し続けており、最新の報道では中国の一部メーカーがサムスンの半額以下で同種チップを販売しているという。このような価格差が生じるなか、利益率の維持は極めて困難であったと考えられる。

また、GPUやAIアクセラレーターなどに用いられるHBM(高帯域幅メモリ)や、スマートフォン・ノートPC向けのLPDDR5は、市場全体で需要が高まっており、単位あたりの収益も高い。限られた製造キャパシティを最大限に活用するためには、旧世代規格へのリソース配分を見直す必要があったといえる。サムスンがこのタイミングでDDR4からの撤退を選んだのは、こうした構造的な背景に基づく自然な帰結と受け止められる。

結果として、DDR4に依存した設計は今後急速に淘汰される可能性があるが、それは同時に、製品全体の性能向上や省電力化を進める契機ともなる。サムスンの動きは、市場における技術的世代交代の節目を象徴するものである。

Source:SamMobile