パランティア・テクノロジーズ(NASDAQ: PLTR)の株価が4月23日、7.08%上昇し100.22ドルに到達。注目を集めた背景には、米中関係改善への期待と、Google Cloudとの新たな統合発表がある。特に政府向けに特化した「FedStart」プラットフォームの拡張が、公共部門での採用促進につながるとの見方が強い。
AI分野における優位性も評価され、2024年通年の売上は28.7億ドル、キャッシュフローは11.5億ドルと堅調。2025年には営業利益の15億ドル超が見込まれる。とはいえ将来利益の158倍という高評価に対しては、過熱感を懸念する声も残る。
パランティアのGoogle連携と「FedStart」が示す戦略的布石

パランティア・テクノロジーズが注目を浴びた要因の一つは、政府向けデータプラットフォーム「FedStart」のGoogle Cloudとの統合発表である。これにより、同社はコンプライアンス基準に厳格な官公庁市場において、クラウド上でのスケーラブルなソリューション提供が可能となった。公共分野での導入ハードルが大幅に下がることは、既存顧客の拡張だけでなく、新規契約の加速を意味する。こうした展開は、同社がAI分野での主導権を握りつつあることを裏付ける。
2024年には売上高が前年比36%増の8億2800万ドル、通年で28億7000万ドルに達し、米国市場では52%成長という強い実績を示した。さらにキャッシュフローは11億5000万ドルと健全であり、利益体質の強化が進む。2025年には売上成長率30%超、営業利益15億ドル超が見込まれ、拡大路線は継続中である。一方、評価指標は将来利益の158倍と高水準にあり、成長期待が株価に織り込まれ過ぎている可能性には注意が必要である。
ウォール街の分断された評価と投資家心理の乖離
パランティアを巡るウォール街の評価は割れており、投資家心理との間に温度差が見られる。William Blairは「アンダーパフォーム」から「マーケットパフォーム」へ引き上げたが、Morgan Stanleyは4月に目標株価を95ドルから90ドルに引き下げたうえで「イコールウェイト」を維持するなど、慎重姿勢を崩していない。平均評価は「ホールド」でスコアは3.08と中立的であり、積極的な「バイ」はわずか4人にとどまる。
この評価の背景には、将来性への期待と現在の実績との乖離がある。SNS「X」では、37億ドルのバックログやAI分野での技術優位に対し熱狂的な支持が見られるものの、長期的な利益成長の持続性やバリュエーションの正当性に疑問を抱く向きもある。過去1年間で340%もの急騰を記録した同社株は、現在28%下落したとはいえ、依然として高評価の水準にある。短期的な期待先行ではなく、中長期のファンダメンタルズに即した評価が求められる局面である。
Source:24/7 Wall St.