米国上場の現物ビットコインETFへの2日間での資金流入額は約13億ドルに達し、1月以来最大の流入規模となった。ビットコインは93,600ドルに上昇し、95,000ドルを突破できるかが注目されている。背景には、米中貿易合意の長期化観測や金価格の反落がある。
専門家は、個人投資家の投機ではなく、機関の戦略的ポジション形成と見る。ゴールドが上値を抑えられる中、ビットコインはデジタル・ゴールドとしての地位を強めつつあり、今後の金融・地政学的環境次第では新たな安全資産としての役割を担う可能性も指摘される。
現物ETFへの巨額流入が示すビットコインの新たな地位

米国市場で取引される現物ビットコインETFに対する資金流入が、わずか2日間で13億ドルに達した。この規模は、1月中旬以降で最も顕著な動きとされる。特筆すべきは、今回の流入が小口の投機的資金ではなく、大口の機関投資家による戦略的なポジション形成である点だ。21Sharesのアナリストであるマット・メナは、このラリーを「市場環境の変化に備える動き」と捉えており、ビットコインが単なるリスク資産から「安全資産」として再評価され始めていることを示唆している。米中貿易交渉の長期化懸念や、地政学的リスクの高まりが背景にあることは明白である。
このような動きは、金融政策や国際関係の先行きに対する不透明感を反映しており、特に量的緩和政策が再び議論される中で、ビットコインが「デジタル・ゴールド」としての側面を強めている。従来の金融商品では対応しきれない変動への耐性が期待されるため、今後も機関の関心は継続する可能性がある。ただし、こうした流入が短期的な価格高騰をもたらす一方で、需給の過熱による反落リスクにも注意が必要である。
95,000ドルの壁とビットコインの中期的分岐点
現在ビットコインは93,600ドル付近で推移しており、95,000ドルが明確なレジスタンスラインとして意識されている。この水準を突破できるかどうかが、短期的な市場の方向性を左右する分岐点となっている。過去24時間で2.6%、過去1週間では12.2%の上昇を記録しており、上昇トレンド自体には力強さが見られるが、市場には過熱感も広がりつつある。特に、SUIやADAといったアルトコインがそれ以上の伸びを見せており、一部の資金がリスクの高い銘柄に流れている兆候も見られる。
一方で、金価格が下落に転じたことで、ビットコインに対する「デジタル避難資産」としての期待が高まりつつある。チャールズ・エドワーズ氏が指摘するように、過去にも金の動きに遅れてビットコインが上昇したケースがあり、市場がこの構図を再現すると見ている投資家も少なくない。ただし、95,000ドルという水準は心理的節目でもあり、これを超えるには一段の好材料やマクロ環境の改善が必要である。短期的には一時的な反落も十分想定されるため、冷静な観察とポジション調整が求められる局面に入ったといえる。
Source:CoinDesk