フィンテック企業SoFi Technologiesは、2024年第1四半期決算を4月29日に控える中、年初来で株価が約22%下落している。マクロ経済の不確実性を背景に売られている一方、同社は堅調な会員増加、収益多様化、ローンプラットフォームの進化、テクノロジー部門の拡大など、強固な成長基盤を築いている。特に個人ローンを中心とした融資起債や、提携による手数料収益の飛躍的な伸長は、信用リスクを抑えたビジネスモデルへの転換を象徴している。
一方で、アナリストの投資格付けは中立にとどまるものの、預金急増により調達コストを低下させており、マージンの改善が顕著である。現在の株価水準は、こうしたファンダメンタルズと比較して割安感があり、四半期決算前後での投資判断が注目される局面にある。
Q1決算を前に明らかになるSoFiの実力と収益源の多様化

SoFi Technologiesは、2024年第1四半期において7億2500万ドル〜7億4500万ドルの調整後純収益を見込んでおり、前年同期比で最大28%の成長を達成する見通しである。この伸長の背景には、個人ローン起債額の大幅増加と、それに伴うローンプラットフォーム手数料の上昇がある。
特筆すべきは、これまでの4四半期連続で市場予想を上回ってきた業績実績であり、2024年第4四半期には市場予測を25%も上回った。さらに、1株当たり利益(EPS)は前年同期比で50%増となる0.03ドルが予測されており、収益構造の改善を裏付けている。
一方で、同社は学生ローンや住宅ローンの取り扱い拡大も推進しており、融資分野の広がりが業績全体の押し上げ要因となっている。収益の多様化は、信用リスクへの依存度を下げると同時に、安定的な成長を可能にする構造的転換であると位置づけられる。マクロ経済環境の不透明感にもかかわらず、こうした多面的な事業展開が、SoFiの競争力強化と市場耐性の向上をもたらしている。
資金調達の進化と利益率改善に寄与する銀行ライセンスの効果
2022年に銀行ライセンスを取得したことにより、SoFiは自社預金を通じた低コストの資金調達が可能となった。これにより、同行は260億ドル規模の預金残高を背景に、従来よりも利率の低い資金源にアクセスできており、金利支出の抑制とマージンの改善が進んでいる。こうした資金構造の変化は、利上げ局面で資本コストが上昇しがちな他社と一線を画し、金融事業の競争力を大きく引き上げる要因となっている。
また、ローンプラットフォームにおいては、保有型モデルから機関投資家との連携による起債型モデルへと転換が進められ、ローンの信用リスクを市場へと移転しつつ手数料収入を確保する構図が確立されている。これにより、利益の変動リスクを抑制しながら、クロスセル機会を保持するという高度な収益戦略を展開している。コスト削減と資本効率の最適化を同時に達成するこのモデルは、今後のFintech事業運営における一つの標準となる可能性がある。
株価下落と市場評価の乖離が生む投資判断の再考余地
SoFi株は年初来で約22%の下落を記録しているが、その背景にはマクロ経済の先行き不透明感とフィンテック全体に対する投資家心理の冷え込みがある。しかしながら、同社の事業実態を見る限り、会員数は前年比28%増となる280万人の純増が見込まれ、テクノロジープラットフォーム部門の拡大も進行中である。手数料収益は2024年に74%増加し、9億7000万ドルに達しており、金融サービス1製品あたりの売上高も前年比で約37%の上昇を記録している。
このように、実態としての成長力と株価との乖離は顕著であり、現行の株価水準には割安感が存在しているといえる。ウォール街の評価が依然「ホールド」にとどまる中、投資家は短期的な市場ノイズではなく、構造的成長と中期的なEPS拡大を視野に入れた判断が求められる。ファンダメンタルズに対して評価が追いついていない現状は、慎重ながらも戦略的なエントリーポイントとして注視に値する局面である。
Source:Barchart