AMDの次世代GPU「Radeon RX 9070 GRE」に関する実物写真がVideocardz経由でリークされ、12GB VRAMと3,072基のストリームプロセッサを搭載した新モデルの仕様が明らかとなった。これは従来のRX 9070(16GB、3,584基)から性能を抑えた廉価構成であり、500ドル未満の価格帯になる可能性が報じられている。写真に写るPowerColor製カードは、「Red Devil」など2種類が確認され、英中併記のパッケージ表記から中国限定発売が示唆されるが、世界展開も視野に入っていると見られる。

RDNA 4アーキテクチャを活かしつつ処理能力と帯域を抑えた設計は、価格重視の中上級者層への新たな選択肢となり得るが、グローバル展開と最終価格設定が市場競争力の鍵となる。過去のRX 7900 GREの事例から見ても、限定展開からの拡張戦略が踏襲される可能性は否定できない。

スペックと価格で差別化を図るRX 9070 GREの構成要素

AMDの新型GPU「Radeon RX 9070 GRE」は、RDNA 4アーキテクチャを採用しつつ、既存のRX 9070や9070 XTから一部仕様を削減した設計となっている。今回リークされたPowerColor製グラフィックカードの情報によれば、GREモデルは12GBのGDDR6メモリを192ビットバスで搭載し、帯域幅は18Gbpsに制限されている。

また、ストリームプロセッサ数は標準版の3,584基から3,072基に減少しており、計算性能の抑制が図られている。一方で、ブーストクロックは2.79GHzと標準モデルの2.52GHzを大きく上回る水準に設定されており、処理速度の面では一定の強化がなされている。

カード本体のデザインは「Red Devil」を含む2モデルが確認されており、いずれも8ピン電源コネクタを2基装備し、高冷却性能を前提とした設計と見られる。Navi 48をベースとする点は共通だが、コンピュートユニットやAIコアの数など細部仕様には未確定要素が残る。価格については500ドル未満との情報があり、パフォーマンスと価格のバランスで競争力を持たせる狙いが見える。

この構成は、過去に高評価を得たRadeon RX 7900 GREと同様の方向性を踏襲しており、ターゲット層を中価格帯のゲーマーやパワーユーザーに定めた製品と位置付けられる可能性がある。ただし、帯域やコア数の削減によりハイエンド用途には不向きな面も残るため、選定には慎重なスペック検証が求められる。


地域展開と価格設定が成否を左右する鍵となる可能性

今回のRX 9070 GREは、パッケージの表記に英語と中国語の両言語が確認されており、中国市場を初期販売地域とする可能性が示唆されている。過去にRadeon RX 7900 GREが中国先行で投入された事例と同様に、本製品もまず中国で市場反応を見極めた後、グローバル展開を検討する段階的な販売戦略が採用される可能性がある。なお、グローバル販売が実現するか否かについては、現時点ではAMDからの公式な声明は確認されていない。

もしこのカードがグローバル市場に展開された場合、500ドル未満という報道価格が重要な判断材料となる。RTX 4070やIntel Arcシリーズといった競合製品群が激しい価格競争を繰り広げる中で、RX 9070 GREが性能と価格の両面で差別化を実現できるかどうかが、市場での位置づけを大きく左右する。特にメモリ容量とストリームプロセッサの削減により、スペックシート上の印象は控えめとなるため、ブーストクロックや冷却性能などの定性的な評価軸が重要となるだろう。

今後、供給地域や価格政策に関する詳細が明らかになれば、ゲーミング市場における本製品の位置づけもより明確となる。AMDが意図するターゲット市場と需要との一致が得られれば、GREシリーズは再び注目の選択肢として浮上する可能性を持つが、その成否は地域展開のスピードと価格設定の巧拙に大きく依存する。


Source:PCGamesN