パランティア・テクノロジーズはGoogleと提携し、同社のクラウド基盤をFedStartプログラムに統合すると発表した。これにより、連邦政府機関向けに準拠性とセキュリティを備えたサービス提供が強化される見込みであり、株価は発表当日に6%超の上昇を記録した。Google側は、この機能を初めて採用するベンダーとしてAnthropicの名を挙げており、AI関連分野との連動性も垣間見える。

この提携は、政府向け事業の拡大を柱とするパランティアの中長期的戦略と合致するもので、年間売上の多くを政府セクターに依存する同社にとって極めて重要な転換点となりうる。一方で、Piper Sandlerは技術的分析から125ドル水準までの株価上昇を予測するが、平均目標株価は84ドルに留まっており、投資判断には慎重な姿勢も必要とされる。

Googleのクラウド基盤と統合されたFedStart パランティアの政府向け事業に追い風

パランティア・テクノロジーズがGoogleとの提携を通じて、自社のFedStartプラットフォームにGoogleのクラウドインフラを組み込むと発表したことで、連邦政府機関向けのデジタルサービスの強化が進む構図が浮き彫りとなった。

Googleクラウドの高いセキュリティ性とコンプライアンス対応力が加わることで、従来のパランティアのソリューションに比べ、より幅広い政府機関への採用可能性が高まったと評価されている。Google副社長リー・パーマー氏が明言したように、この統合は政府顧客に対する「高セキュリティかつ準拠した」環境の提供を目的としており、AIスタートアップAnthropicが初の連携事例となる。

FedStartは、政府調達プロセスを迅速化するために設計されたパランティア独自の仕組みであり、今回のGoogleクラウドとの統合によって、より機動的かつ信頼性の高いシステム提供が可能になる。これまでの政府向け実績を踏まえれば、この連携が新たな大型契約獲得の足がかりとなることも想定される。ただし、導入には複数機関による検証や調整が必要であり、短期的な売上への即時反映は限定的となる可能性もある。

株価高騰の背景とPiper Sandlerの強気予測 125ドル水準への到達は現実的か

Googleとの提携発表後、PLTR株は2024年4月24日に6%以上の急騰を記録し、年初来安値からの回復率は70%を超える水準に達した。こうした株価の動きについて、米証券会社Piper Sandlerはポジティブなテクニカル分析を示しており、PLTR株は「フォーリングウェッジ(下降ウェッジ)」のパターンをブレイクアウトしたと指摘した上で、今後数週間で125ドルの水準を再び試す可能性を示唆している。

ただし、株式市場における期待感と実際の企業収益の連動性は常に一致するとは限らず、目先のテクニカル的な強さが持続可能かどうかは次回決算に大きく依存する点が見逃せない。パランティアは来月初頭に四半期決算の発表を控えており、その内容次第で市場の評価が一変する余地がある。特に政府向け契約の進捗状況やGoogleとの連携による収益インパクトの初期的な兆候が注目点となろう。

アナリスト評価の分断とコンセンサス目標の乖離 慎重姿勢を促す市場の現実

Piper Sandlerが提示する強気な見通しとは対照的に、PLTR株に対する市場全体の評価は依然として慎重である。複数のアナリストによるコンセンサスは「ホールド(中立)」の評価に留まっており、平均目標株価も現在の水準から20%以上低い84ドルとされている。これは、短期的な材料であるGoogleとの提携が中長期の業績拡大へ直結するとの見方に懐疑的な声が一定数存在していることを示している。

加えて、パランティアの収益構造は依然として政府部門への依存度が高く、民間部門での成長余地や多角化の進捗は限定的であると見る向きもある。テクニカル分析が示す強気の展開と、ファンダメンタルズ分析に基づく警戒感の間にはギャップが存在しており、今後の株価動向は両者のバランスによって左右される可能性が高い。投資判断に際しては、短期的な値動きに過度に反応せず、収益基盤や市場の評価全体を冷静に見極める視座が求められる。

Source:Barchart