編集部
電力設備産業は、世界経済の重要な基盤となっています。産業の発展、都市の成長、そして人々の生活の質向上には電力供給が不可欠であり、その実現に向けた設備投資は絶え間なく行われています。
今回の記事では、時価総額を基にした「2023年最新版：世界の電力設備会社ランキングTOP62」をお届けします。ランキングは、各企業の経済的な影響力や市場規模を示す一方で、産業の最新トレンドや市場のダイナミクスも反映しています。ランキングの背後にある要素を理解することで、電力設備産業の今後の展望やビジネス環境の変化に対する洞察を深めることができます。
世界の電力設備会社ランキング：時価総額TOP62
下記の世界の電力設備会社ランキング一覧は、本メディアReinforz Insightが各社の公表情報を元に集計している時価総額ランキングです。時価総額は、各企業の株式時価に基づいて算定されており、企業の実質的な価値を示す指標となります。
このランキングを元に分析すると、以下が特徴として見えてきます。
- 地域的な分布: このリストを見ると、アメリカ、日本、中国、インドの企業が時価総額ランキングに多く名を連ねています。これらの国は世界の大きな経済圏であり、それぞれが多くの大手企業を抱えています。
- トップ企業: 最も時価総額が高い企業は、アメリカのGeneral Electricであり、それに続くのはフランスのSchneider Electric SEとアイルランドのEaton Corp PLCです。これらの企業は電気・エネルギー関連産業でのリーダー的存在で、世界中にその製品とサービスを提供しています。
- 日本企業: 日本の企業は日立製作所、三菱電機、三菱重工業、東芝、富士電機、明電舎、東光高岳の7社がランキングに名を連ねています。中でも日立製作所と三菱電機の時価総額は特に高く、全体の上位に位置しています。
- 時価総額の分布: 時価総額の分布は非常に不均等で、上位の企業は数兆円の規模であり、一方でリストの下位には数十億円以下、あるいはそれ以下の規模の企業も存在しています。これは、産業の中に大きな企業と小さな企業が共存し、また地域や市場環境によって企業の規模が大きく変わることを示しています。
総じて、このリストは各国の電気・エネルギー関連企業の規模と影響力の相対的な指標を示しています。ただし、この時価総額の大小は企業のパフォーマンスや健全性の唯一の指標ではありません。他の多くの要因、例えば収益性、成長率、借入金なども企業の全体像を理解するために考慮する必要があります。
以下は、ランキングトップ5にランクインしている企業です。
1位：General Electric Co（アメリカ）
GEは、航空、ヘルスケア、パワー、再生可能エネルギー、デジタルインダストリー、金融サービスなどの各セクターで業務を展開している大規模な多国籍企業です。この多様なポートフォリオにより、GEはさまざまな市場と業界でリーダーの地位を維持しています。
その多様なビジネスポートフォリオと世界的な存在感により、GEは安定した収益を維持しています。また、GEは技術革新を続けており、これが高い評価を得て株価を押し上げ、時価総額を高めています。
2位：Schneider Electric SE（フランス）
Schneider Electricはエネルギー管理とオートメーションのグローバルリーダーで、産業、ビル、データセンター、インフラ、住宅向けの統合効率ソリューションを提供しています。
企業や住宅がエネルギー効率を向上させ、環境負荷を低減しようとするとき、Schneiderの製品とサービスは不可欠です。このニーズが高まるにつれて、Schneiderの株価と時価総額も上昇しています。
3位：Eaton Corp PLC（アイルランド）
Eatonはパワーマネジメント技術のリーダーで、エネルギー効率ソリューションを提供し、電気、油圧、航空の各セクターで顧客にサービスを提供しています。
Eatonの製品は、エネルギー管理と効率を重視する現代の産業と消費者にとって重要です。この需要の高まりが株価を押し上げ、時価総額を増加させています。
4位：日立製作所（日本）
日立製作所は、情報・通信システム、社会・産業システム、電子システム・機器、建設機械、高機能材料など、幅広い分野で事業を展開しています。
日立製作所の広範で多様な製品ポートフォリオとイノベーション能力により、その価値は高く評価されています。その高品質な製品とサービスは、日立製作所の株価と時価総額を増加させています。
5位：三菱電機（日本）
三菱電機は、エネルギー、産業オートメーション、情報通信、家庭機器など、さまざまな市場で事業を展開している大手電機メーカーです。
三菱電機は、その広範囲で高品質な製品群と強固なブランドイメージにより、安定した評価を受けています。これらがその株価を押し上げ、時価総額を増加させています。
【世界の電力設備会社ランキング：時価総額TOP62リスト】
※対象となる電力設備会社として「上場企業」かつ「電力設備業を展開している企業」
※対象決算期はデータ入手が可能な直近決算期を採用
※時価総額は記事執筆時点（2023年6月13日）の株価および為替レートで算出
| ランキング | 企業名 | 所在国 | 決算期 (決算期) | 時価総額（億円） |
| 1 | General Electric Co | アメリカ | 2022/12 | 153,609 |
| 2 | Schneider Electric SE | フランス | 2022/12 | 130,860 |
| 3 | Eaton Corp PLC | アイルランド | 2022/12 | 99,071 |
| 4 | 日立製作所 | 日本 | 2023/03 | 81,308 |
| 5 | 三菱電機 | 日本 | 2023/03 | 42,558 |
| 6 | Weg SA | ブラジル | 2022/12 | 40,228 |
| 7 | Siemens Energy AG | ドイツ | 2021/09 | 24,371 |
| 8 | Siemens Ltd | インド | 2022/09 | 23,316 |
| 9 | 三菱重工業 | 日本 | 2023/03 | 21,679 |
| 10 | 東芝 | 日本 | 2023/03 | 19,604 |
| 11 | ABB India Ltd | インド | 2022/12 | 14,155 |
| 12 | Shanghai Electric Group Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 13,565 |
| 13 | Dongfang Electric Corp Ltd | 中国 | 2022/12 | 10,855 |
| 14 | Vertiv Holdings Co | アメリカ | 2022/12 | 10,678 |
| 15 | Generac Holdings Inc | アメリカ | 2022/12 | 9,637 |
| 16 | Wartsila Corp | フィンランド | 2022/12 | 9,266 |
| 17 | 富士電機 | 日本 | 2023/03 | 9,100 |
| 18 | Cummins India Ltd | インド | 2023/03 | 8,092 |
| 19 | Andritz AG | オーストリア | 2022/12 | 7,500 |
| 20 | SPX Technologies Inc | アメリカ | 2022/12 | 5,107 |
| 21 | Bharat Heavy Electricals Ltd | インド | 2023/03 | 4,901 |
| 22 | Sinomach Heavy Equipment Group Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 4,302 |
| 23 | Zhefu Holding Group Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 3,977 |
| 24 | Chung-Hsin Electric & Machinery Mfg. Cor | 台湾 | 2022/12 | 2,312 |
| 25 | LS Electric Co Ltd | 大韓民国 | 2022/12 | 2,227 |
| 26 | Triveni Turbine Ltd | インド | 2023/03 | 2,179 |
| 27 | Shanghai Taisheng Wind Power Equipment Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 1,949 |
| 28 | Baoding Tianwei Baobian Electric Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 1,719 |
| 29 | HuaDian Heavy Industries Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 1,458 |
| 30 | AZZ Inc | アメリカ | 2023/02 | 1,366 |
| 31 | Guangzhou Goaland Energy Conservation Tech Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 1,176 |
| 32 | Ning Xia Yin Xing Energy Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 1,025 |
| 33 | Tianjin Benefo Tejing Electric Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 1,001 |
| 34 | Sinoma Energy Conservation Ltd | 中国 | 2022/12 | 907 |
| 35 | GE T&D India Ltd | インド | 2023/03 | 882 |
| 36 | Harbin Electric Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 863 |
| 37 | 明電舎 | 日本 | 2023/03 | 862 |
| 38 | Shandong High Speed Renewable Energy Group Ltd | 中国 | 2022/12 | 722 |
| 39 | Ceepower Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 685 |
| 40 | ShiJiaZhuang Kelin Electric Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 666 |
| 41 | Yantai Longyuan Power Technology Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 622 |
| 42 | TD Power Systems Ltd | インド | 2023/03 | 556 |
| 43 | Jiangsu Tongda Power Technology Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 516 |
| 44 | Shanghai Cooltech Power Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 506 |
| 45 | Lanzhou Great Wall Electrical Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 455 |
| 46 | 東光高岳 | 日本 | 2023/03 | 353 |
| 47 | Sysgration Ltd | 台湾 | 2022/12 | 305 |
| 48 | Unison Co Ltd | 大韓民国 | 2022/12 | 287 |
| 49 | Guizhou Changzheng Tiacheng Holding Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 279 |
| 50 | Huayi Electric Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 203 |
| 51 | Andrew Yule & Co Ltd | インド | 2023/03 | 188 |
| 52 | GE Power India Ltd | インド | 2022/03 | 171 |
| 53 | Power Solution Technologies PCL | タイ | 2022/12 | 121 |
| 54 | W S Industries (I) Ltd | インド | 2023/03 | 63 |
| 55 | Mazda Ltd | インド | 2023/03 | 59 |
| 56 | Northeast Electrical Development Co Ltd | 中国 | 2021/12 | 42 |
| 57 | Tirathai PCL | タイ | 2022/12 | 26 |
| 58 | A2Z Infra Engineering Ltd | インド | 2023/03 | 24 |
| 59 | Jyoti Ltd | インド | 2023/03 | 11 |
| 60 | VibroPower Corp Ltd | シンガポール | 2022/03 | 4 |
| 61 | Innocorp Ltd | インド | 2023/03 | 1 |
| 62 | Kaluga Turbine Works PJSC | ロシア連邦 | 2021/12 | 0 |
出典：各社プレスリリースなど
世界の電力設備会社ランキングの有用性
電力設備会社のランキングは、多くの側面から有用な情報を提供します。以下にいくつかのポイントを示します。
- 投資判断: ランキングは、投資家がその会社がどの程度成功しているか、競争力があるかを評価するのに役立ちます。企業の時価総額は企業の規模、業績、投資家の信頼度など、投資可能性の重要な指標であるため、ランキングは投資判断の一部となります。
- 市場の理解: 電力設備業界のランキングは、市場の傾向や動向を理解する上で役立ちます。特定の企業がランキングで上位にランクインすると、その企業の製品やサービスが市場でどのように受け入れられているか、またはその企業がどのような戦略を採用して成功を収めているかなどの洞察を得ることができます。
- 競争分析: ランキングは競合他社のパフォーマンスを比較分析するための基準を提供します。どの企業がランキングで上位に位置しているかを見ることで、その企業がどのような戦略を採用して成功しているのかを理解し、自社の戦略を調整することができます。
- 業界の動向: ランキングは、業界全体の成長傾向や、どの地域や国がその業界で強いかを示す一方で、新興市場や可能性のある成長エリアを特定するのにも役立ちます。たとえば、ランキングに多くの新興市場企業が含まれている場合、その市場が成長している可能性があると推測できます。
- ビジネスパートナーシップ: ビジネスパートナーシップや共同開発を検討している企業にとって、ランキングはパートナーシップを結ぶ可能性のある企業を見つけるための重要なツールになることがあります。
したがって、電力設備会社のランキングは、市場の動向の理解、投資判断、競争分析、業界の動向の観察、ビジネスパートナーシップの選択など、さまざまな目的に役立つ重要な情報を提供します。
世界の電力設備会社ランキング：変化を与える要素
世界の電力設備会社ランキングに変化を与える要素は、以下の通りです。
技術革新
電力設備産業は、技術的な進歩に大きく依存しています。新しい技術（例えば、エネルギー効率の高い機器や再生可能エネルギーへの転換）を導入し、それを商用化する能力は、会社の市場シェアと収益を大幅に向上させる可能性があります。
規模の経済
企業の製造規模が大きければ、単位あたりのコストを下げ、価格競争力を高めることができます。これは特に、価格が大きな差別化要因となるコモディティ型の製品で重要です。
地政学的な要因
電力設備はしばしば大規模なインフラプロジェクトと関連しており、政府の政策、規制、投資などが大きな影響を及ぼします。特定の地域でのビジネス環境の改善や、新興市場での経済成長は、電力設備会社のランキングに影響を与えます。
資源の可用性
一部の電力設備は、特定の資源（例えば、レアアースメタル）に大きく依存しています。これらの資源の供給状況や価格の変動は、電力設備会社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
環境規制
温室効果ガスの排出量削減に関する規制は、電力設備産業に大きな影響を及ぼします。再生可能エネルギーやクリーンテクノロジーを採用する能力は、企業の競争力を向上させる可能性があります。
マクロ経済の動向
全体的な経済状況が良好な場合、電力設備の需要が高まる可能性があります。このため、景気の拡大や縮小は電力設備会社の業績とランキングに影響を及ぼします。
これらの要素はすべて、電力設備会社の業績と、それにより企業ランキングが変化するかもしれません。
まとめ
このランキングは、世界の電力設備産業の最新のスナップショットを提供しています。しかし、この産業は技術革新、規模の経済、地政学的要因、資源の可用性、環境規制、マクロ経済の動向など、多くの要因によって絶えず変化しています。したがって、ランキングは流動的なものであり、企業の競争力は絶えず試されています。
それでも、これらの企業は私たちの日常生活において重要な役割を果たしており、彼らの動向を注視することで、産業全体の方向性を理解することができます。「2023年最新版：世界の電力設備会社ランキングTOP62」は、それらを一覧化し、産業の現状と今後の可能性を示す道しるべとなることでしょう。今後もこの動きを注視して参りましょう。