市場全体が関税政策の揺れと地政学リスクで混迷を深める中、ウォーレン・バフェットが率いるバークシャー・ハサウェイの長期的な実績が再び注目を集めている。1965年から2024年までに5,502,284%のリターンを生んだ同社の保有銘柄の中でも、コカ・コーラとバンク・オブ・アメリカの2社が今、市場の不安定性に強い銘柄として浮上している。

コカ・コーラは、世界的ブランドを武器に2025年に入ってから18.7%の株価上昇を記録し、アナリスト評価も高水準を維持。一方、バンク・オブ・アメリカは短期的な下落の中でも収益性を維持し、今後2年間でのEPS成長が2桁台に達するとの予想が優勢である。両銘柄に共通するのは、堅調な配当政策と着実な業績拡大であり、投資家心理が揺らぐ今こそ検討に値する存在となっている。

コカ・コーラが示すディフェンシブ銘柄としての圧倒的存在感

コカ・コーラ(KO)は、ウォーレン・バフェットの保有銘柄の中でも長年にわたり中核を担う存在である。2025年に入り、S&P500が10.1%下落する中で、同社株は18.7%の上昇を記録。過去52週間でも22.1%の上昇を達成しており、景気に左右されにくいビジネスモデルの堅牢さを如実に示している。飲料分野において世界200カ国以上に展開し、炭酸・無糖・機能性飲料を含む幅広いブランドポートフォリオが安定収益の柱となっている。

財務面では、2024年に84億ドルを配当として還元し、63年連続の増配記録を継続。1株あたり2.04ドルという年間配当と2.85%の利回りも、インカム投資家にとって大きな魅力となっている。第4四半期の決算では、売上高115億ドル(前年比+6%)、EPS0.55ドル(前年比+12%)と、いずれも市場予想を上回る好結果を残している。さらに、2025年通期の見通しではオーガニック売上5〜6%、EPS2〜3%の成長を掲げており、アナリスト予想では2026年にEPS3.19ドルへの成長が見込まれている。

配当姿勢と着実な業績拡大は、ボラティリティの高い相場でも安心感を提供する要素である。消費者向け製品の中でもグローバルブランドに裏打ちされた強固な競争優位性は、今後の景気後退局面でも収益を堅持する可能性を示唆している。市場が不安定な局面にある今、コカ・コーラのような収益安定型銘柄はポートフォリオ全体の防御力を高める存在となり得る。

バンク・オブ・アメリカに見る大型金融株の底力と成長余地

バンク・オブ・アメリカ(BAC)は2025年に入り12.8%の株価下落に見舞われているが、同時に四半期決算で収益の底堅さを証明した。4月15日に発表された第1四半期決算では、売上高が6%増の274億ドル、純利息収入が3%増の144億ドルとなり、いずれも市場予想を上回った。EPSは前年比18.4%増の0.90ドルとなり、予想を11.1%上回る結果であった。多角的な事業構造が金利変動や信用市場の影響を抑制し、安定収益を維持する強みとして機能している。

同社の年間配当は1株あたり1.04ドル、利回りは2.71%。11年連続の増配実績がある。さらに、CEOのブライアン・モイニハンは、販売・トレーディング部門が12四半期連続で前年超えの成長を遂げたと強調しており、企業および消費者の信用状態が引き続き良好であると述べている。アナリスト予想では2025年EPSは3.65ドル、2026年には4.27ドルまでの成長が見込まれており、目標株価の平均は現在価格を26%上回る48.89ドルとされている。

株価は一時的な軟調にあるが、銀行業務の安定性とグローバル展開力は、金融セクター全体の回復に先駆けて再評価される余地がある。配当利回りと成長性のバランスに優れた大型金融株として、長期保有を前提とする投資家にとっては戦略的選択肢となり得るだろう。短期の価格変動に惑わされず、財務基盤と収益モデルの持続性を重視すべき局面にある。

Source:Barchart