One UI 7の提供が長期化したことで、サムスンのソフトウェア更新ペースに再び注目が集まっている。現時点で同社はようやくAndroid 15ベースのアップデートを展開し始めたが、GoogleはすでにAndroid 16のベータを進行中である。この遅れは、一見すれば見過ごせない問題に思えるが、One UIが常にAndroid標準を上回る独自機能を提供してきたという点も見逃せない。

たとえばDeXやQuick Share、マルチウィンドウなどは、その多くがAndroid標準より先んじて実装された例である。サムスンは独自の体験を重視するがゆえに、Googleのスケジュールとは異なる歩調をとってきたという背景がある。

One UI 7の展開遅延がもたらした信頼の揺らぎと現状の遅れ

2024年のOne UI 7は、機能面では評価されたものの、その配信スピードには大きな批判が寄せられた。特にAndroid 15をベースとしたアップデートが始まった時期と、GoogleがAndroid 16のベータを開始したタイミングのズレは象徴的である。アップデートを待ち望んでいたGalaxyユーザーの多くがこの遅延に落胆したことは避けられず、ソフトウェア提供の信頼性に影を落としたことは確かだ。

一方、サムスン自身もOne UI 7の開発期間が長すぎたと認めており、次のアップデートではこの反省を踏まえる意向を示している。アップデートの迅速性は単なる利便性ではなく、最新OSを求めるユーザーの期待に応える姿勢そのものであるため、スケジュール遵守の重要性は増している。

とはいえ、Android OSの進行スピードにそのまま追随しないという判断は、独自UIの設計思想と深く関わっており、一概に遅れ=問題とは言い切れない面もある。ただしその前提として、One UIの更新が安定して行われることが最低条件であるのは間違いない。

One UIが提供する独自機能とGoogleとの差別化構造

サムスンが開発するOne UIは、単なるAndroidの外装ではなく、独自の機能群とUX設計を重視したソフトウェア群として発展してきた。たとえばDeXやQuick Share、マルチウィンドウといった機能は、Androidの標準OSに先駆けて実装された代表例であり、OSのバージョンよりも実際に得られる体験の質が重要視されている。

このような設計思想により、サムスンはOS更新のスケジュールに完全には従わず、むしろOne UIの完成度を優先するアプローチを取ってきた。Googleが提供するベースOSがあっても、その上に成り立つUXはあくまで独自のものであり、その差別化こそがGalaxyシリーズの特徴であるとも言える。

ただし、そうした独自路線を継続するには、更新の遅延がユーザーに不安を与えない水準で行われることが不可欠である。サムスンが今後もAndroid OSよりも高機能な体験を提供する存在であり続けるには、機能の先進性と同時に、提供タイミングの信頼性も維持しなければならない。

Source:SamMobile