iPhoneのアラームが設定通り鳴らないという報告が相次いでいる。iPhone 15やiPhone 16を含むFace ID搭載機種に共通しており、アラーム音が小さくなる、または完全に無音になる現象が確認されている。この不具合は「Attention Aware Features(注意認識機能)」が原因である可能性が高く、設定を無効にすることで再現性のある改善が得られると報告されている。

Appleは現時点で公式な対応策を示していないが、今後のiOSアップデートでの修正が期待される。一方で、根本的な回避策として注目されているのが、注意認識機能の手動オフ設定である。

注意認識機能が引き起こすアラーム不具合の実態

iPhoneのアラームが設定通りに鳴らず、無音や音量の自動低下が起こるケースが報告されている。原因とされるのは、Face IDに連動した「Attention Aware Features(注意認識機能)」である。この機能はユーザーの視線を検知し、通知音やアラーム音の音量を制御するが、ユーザーがすでに起きていると誤認識した場合、アラームの音量が下がる、あるいは完全に無音になるとされる。特にiPhone 15やiPhone 16といった最新モデルに限らず、Face IDを搭載した複数の世代で同様の症状が見られている。

また、Alarmyなどのサードパーティ製アラームアプリでは本問題が発生しないことも判明しており、iOSの純正アラームに特有の挙動であると考えられる。Appleは現在のところこの問題について公式な認識を示していないが、注意認識機能をオフにすることで高い確率で改善するという報告が複数ある。設定の変更は「Face IDとパスコード」内からわずか1分で完了できるため、再現性のある対策として紹介されている。

一見便利な知能的挙動が、ユーザーの意図に反してアラームの信頼性を損ねる結果となっており、根本的な修正が加わらない限りは手動設定による予防が最も現実的な対応とされている。

システム側の判断がもたらす“誤解”と手動設定の意義

Appleの注意認識機能は、ユーザーがiPhoneを注視しているかどうかを判断して動作を変化させる高度な設計である。本来は利便性やプライバシーの向上を目的とした機能だが、アラームの信頼性が求められる状況では不都合が生じる。特に、iOSが「すでにユーザーが起床している」と誤解した場合に音量を自動的に下げてしまう仕様は、ユーザー側の意図と噛み合わないケースがある。

このような予期しない挙動は、生活リズムに深く関係するアラーム機能においては致命的とも言える。就寝中に端末を視線の届く位置に置いたり、Face IDの認識範囲に偶然入ってしまった場合など、意図せずしてアラームが弱まる可能性も排除できない。加えて、標準アラーム以外のアプリでは問題が起こらない点からも、システム機能とアプリ動作の調整に課題が残る。

こうした背景を踏まえれば、「Attention Aware Features」をあえて無効化する判断は、現状では実用性を重視した賢明な選択と言える。利便性と精度のバランスを再考する時期に来ており、Appleが次期iOSでどのような調整を行うかにも注目が集まる。

Source:The Mac Observer